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中央自動車道をまたぐ複数の橋の耐震補強工事で鉄筋不足が判明し、発注者の責任も問われている。本来は必須であるはずの立ち会い検査を実施しないまま、工事が進んでいたからだ。検査願などを提出しないで作業した施工者に対し、発注者のずさんな検査体制が明らかになった。

 「施工管理の検査体制について、不適切な部分があったと言わざるを得ない」。2020年11月17日の衆院国土交通委員会。中日本高速道路会社の源島良一取締役は、同社が発注した橋の耐震補強工事について検査の不備を認めた。

 16年の熊本地震で「ロッキングピア形式」の跨道橋が落ちた事態を受け、中日本高速は中央自動車道にある同形式の計7橋の耐震補強工事を大島産業(福岡県宗像市)に発注。橋脚と橋台をそれぞれ上部工に剛結する工事などを18年8月に始めた。

 最初に施工不良が判明したのは、東京都日野市で中央自動車道をまたぐ緑橋のA1橋台だ(写真1)。緑橋の補強工事が完了した20年3月から半年後の同年9月、中日本高速が補強部分に発生した2カ所のひび割れを目視で確認した(写真2)。翌10月に非破壊検査を実施し、鉄筋8本の不足が明らかになった(図1)。

写真1■ 東京都日野市で中央自動車道をまたぐ緑橋。法面中腹に見えるA1橋台の前面と上部に打ち増したコンクリートに鉄筋不足が判明した(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 東京都日野市で中央自動車道をまたぐ緑橋。法面中腹に見えるA1橋台の前面と上部に打ち増したコンクリートに鉄筋不足が判明した(写真:日経コンストラクション)
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写真2■ 緑橋A1橋台に増し打ちしたコンクリートに生じたひび割れ(写真:中日本高速道路会社)
写真2■ 緑橋A1橋台に増し打ちしたコンクリートに生じたひび割れ(写真:中日本高速道路会社)
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図1■ 鉄筋8本の不足に気付かず
図1■ 鉄筋8本の不足に気付かず
緑橋A1橋台の断面図(資料:中日本高速道路会社)
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 中日本高速は他の橋でも調査を実施。新たに緑橋と北原橋、絵堂橋で、計6本の鉄筋不足などが判明した(図2)。大島産業は、20年11月5日に同社のホームページ上で「今回の事態は、自社の施工管理が十分でなかったために発生した」と認めた。

図2■ 3橋で鉄筋不足
図2■ 3橋で鉄筋不足
ロッキングピア形式の7橋の耐震補強工事を大島産業が受注した。そのうち3橋で鉄筋不足などが判明した(資料:中日本高速道路会社)
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