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1万カ所を超える施工不良が発覚して衝撃が広がった千曲川護岸の復旧工事で、再施工が進む。発注者の国土交通省は、あくまで施工者の大林組のミスで施工不良が生じたと強調する。当初は6回の計画だった段階確認が1度になるなど、早期発見できなかった理由が浮かび上がってきた。

 長野県東御(とうみ)市で2021年2月9日、国土交通省北陸地方整備局が発注した千曲川護岸復旧工事の再施工が始まった。当初の復旧工事を約14億5000万円で受注した大林組が無償で行う。発覚した施工不良が約1万3000カ所と多いため、施工済みだった部分を全て取り壊す(写真1)。再施工の完成予定は21年6月上旬で、21年の出水期に掛かる恐れがある。

写真1■ 長野県東御市内の千曲川護岸復旧工事の現場。法面の白い部分が撤去作業中の法覆大型ブロックだ。2021年3月16日に撮影(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 長野県東御市内の千曲川護岸復旧工事の現場。法面の白い部分が撤去作業中の法覆大型ブロックだ。2021年3月16日に撮影(写真:日経コンストラクション)
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 参院国土交通委員会では21年3月16日、長野県出身で日本共産党所属の武田良介議員がこの施工不良問題を取り上げた。

 武田議員に施工不良に関する認識を問われた赤羽一嘉国土交通大臣は、「この受注者に怒りを禁じ得ない」と答弁し、大林組を責めた。「国交省として監督が不行き届きだった」との釈明を予想していた武田議員は「そこまで言うか」と驚いたという。国交省水管理・国土保全局の井上智夫局長は、「監督員の業務に不備はなかった」と言い切った。

 大規模な施工不良が生じたとなると、施工者の責任を問うだけでなく、発注者の監督が十分だったのかという分析や検証も必要だ。「しかし、国交省にその姿勢はみられない。これで再発を防げるだろうか」と武田議員は首をかしげる。

 千曲川護岸の再施工に当たり、北陸地整は通常1人の主任監督員を2人に増やし、段階確認する項目の新設や、既存の項目で確認頻度を引き上げるなどして施工不良の再発を防ぐ。ただし、同地整の田辺雄司河川工事課長は「今回の不具合はこの工事固有の問題」と断言。他の直轄工事では、発注者として新たな施工不良対策は特に講じないという。