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BIM/CIMの適用原則化を背景に、多くの建設コンサルタント会社が設計のデジタル化に挑む。今や欠かせないDXをキーワードに、専任部署の創設や予算増などを図る企業が増えている。単独でDXに取り組む限界を見越して、独自の技術を持つ他企業と連携する動きが出てきた。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業は、金融や交通、医療などあらゆる領域で増え続けている。建設コンサルタント業界も例外ではない。DXの専任部署を立ち上げ、デジタル化を推し進める動きが盛んだ。

 この背景の1つに、国土交通省が掲げるBIM/CIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング/コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の適用原則化がある。橋やトンネルなど大型事業の詳細設計では、2021年度の発注からBIM/CIMの適用を原則とする。23年度までに小規模工事を除く全ての詳細設計・工事で導入する方針だ。

 日経コンストラクションが21年2月に主要な建設コンサルタント会社へ実施したアンケートでは、DXのために力を入れている取り組みとして最も多かったのが「設計データなどのデジタル化推進」だった。選択の割合は77%だ(図1)。建設コンサルタント部門の売上高が20億円を超える大手・中堅の約9割が選んだ。

図1■ 4社に3社がBIM/CIM推進
図1■ 4社に3社がBIM/CIM推進
DXのために注力している取り組みを最大5つまで選択してもらった(緑のグラフ)。さらに、特に力を入れる分野を1つ選択してもらった(ピンクのグラフ)。調査に回答したのは203社。調査概要は「建設コンサルタント会社ランキング」
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 意外だったのは、売上高が20億円未満の規模が小さい会社における選択率の高さだ。約7割に上る。設計データのデジタル化に取り組んでおかなければ、BIM/CIMの原則化で失注する恐れがあるからだろう。

 各社はデジタル環境の整備だけでなく、教育にも力を入れている。例えばパシフィックコンサルタンツは、BIM/CIMの普及に向けた社員研修を本格的に始めた。20年6月には、同社のi-Construction推進センターが中心となり、技術者など約30人を対象に1カ月間の研修を実施した。

 同社の鈴木啓司センター長は「毎年、研修を実施する方針だ。3次元モデルを作成できるようになるだけでなく、それらの手順を指導できる社員を増やしていく」と話す。