二酸化炭素の排出量実質ゼロや気候変動への対応など、グリーン社会の構築が現実味を帯びてきた。国土計画の作成や街づくりに関わる仕事が多い建設コンサルタント会社にとって、無視できない動きだ。再生可能エネルギーはもちろんのこと、グリーンインフラやスマート事業などが売り上げ増の鍵となる。
2050年の脱炭素社会など「グリーン社会」の話題が尽きない。建設コンサルタント各社は、環境事業が今後の収益源になると期待を寄せる。
例えば、エイト日本技術開発はその1社だ。24年度に国内外の環境関連の売上高で27億円以上を目指す。20年度の決算では、20億円程度だ。
「売上高の半分は自社の強みである廃棄物関係で稼ぐ。それ以外に再生可能エネルギーなどに注力する他、森林資源の保全や活用を進めたい」。同社総合企画本部の田中紀昭本部長は、こう意気込む。森林関係では、子会社である那賀ウッド(徳島県那賀町)とのつながりをより深める。
「最近、森林環境税の活用についての相談が増えている。20年には、地形や渓流、生態系など森林管理に必要なデータを取得するための技術開発に着手した。新技術などを使って、森林環境税の適正な活用支援の事業を拡大したい」(田中本部長)
エイト日本技術開発のように、「グリーン」を軸に事業展開を狙う会社は少なくない。日経コンストラクションが主要な建設コンサルタント会社に実施したアンケートで、「グリーン社会」の実現に向けて力を入れる取り組みを最大5つまで聞いたところ、「特にない」と回答した割合は2割にすぎなかった(図1)。最も多かったのが、42%の「再生可能エネルギー」。事業の対象は、太陽光や小水力、陸上・洋上風力など様々だ。
建設コンサルタント会社は再生可能エネルギーの事業単体でなく、街づくりも併せて包括的な受注に関わろうとしている。三井共同建設コンサルタントの中野宇助社長は、「エネルギーを自立・分散できる国土にしなければならない。そのためには物流を考えた交通計画なども見直していく必要があるだろう」と話す。