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言葉や態度がきつくなりがちで、パワハラが生じやすい建設業の職場。パワハラ問題は、人材の損失や企業イメージの失墜につながるリスクがある。企業と社員が一丸となり、積極的かつ継続的に防止対策に取り組むことが重要だ。

 荒っぽい言葉、大きな声、頭や体を叩く──。危険な作業が多い建設現場では、注意喚起のつもりの言動が、受け手の感じ方次第でパワーハラスメントとなりかねない。パワハラが生じやすい環境といえる。建設実務者や建設系企業への調査を見てみても、ハラスメントとして最も目立ったのはパワハラだった。

 業務上の叱責がエスカレートしたパワハラ行為は、社員や職員に恐怖心を植え付け、現場などで生じた失敗の報告をためらわせてしまう。「それが瑕疵やミスの隠蔽につながり、やがて発覚、紛争として発展すれば、企業は大きなダメージを被る」と、建設法務に詳しい匠総合法律事務所の秋野卓生弁護士は説く。パワハラのリスクは想像以上に大きい。

 パワハラを防止するうえで、事業主が取り組みの参考にできる指針がある。厚生労働省の「パワーハラスメント対策導入マニュアル」だ。組織内でパワハラ対策の仕組みを構築する手立てを紹介している。以下の7つのステップで進める(図1)。

図1■ パワハラ対策の基本的枠組みを構築
厚生労働省の「パワーハラスメント対策導入マニュアル」で紹介されているパワハラ対策導入の取り組み例。企業としての基本的枠組みを半年で構築するために、7つの項目を段階的に実践していく(資料:厚生労働省)
厚生労働省の「パワーハラスメント対策導入マニュアル」で紹介されているパワハラ対策導入の取り組み例。企業としての基本的枠組みを半年で構築するために、7つの項目を段階的に実践していく(資料:厚生労働省)
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厚生労働省の「パワーハラスメント対策導入マニュアル」(資料:厚生労働省)
厚生労働省の「パワーハラスメント対策導入マニュアル」(資料:厚生労働省)
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窓口担当は複数の人員で

 まずは「トップのメッセージ」だ。パワハラの撲滅を目指すという企業としての基本方針を込めたメッセージを打ち出して企業内に発信。お互いを尊重し合う風土を醸成する。

 次に「ルールを決める」。就業規則などの中にパワハラの禁止規定を盛り込み、懲戒規定などに基づいて加害者に対処する旨を明文化する。

 3ステップ目は「実態を把握する」。対策を始める際にアンケートを実施。パワハラ事案の有無や社員の意識などを把握して対策に生かす。基本的な枠組みを構築した後も、再調査を実施し、その効果を検証する。

 4つ目のステップは「教育する」。管理監督者と一般社員に分けてパワハラ研修を受講させる。最初の1度だけ実施すれば終わりではなく、定期的に繰り返し受講させるのが効果的だ。

 5ステップ目は「周知する」。パワハラ防止に向けた企業方針やルール、対策の取り組み状況、相談窓口といった情報を社内にしっかり伝える。単にポスターを貼るだけではだめだ。会社の本気度や取り組み内容を確実に理解してもらえるよう、積極的に繰り返すことが肝要だ。

 6ステップ目は「相談や解決の場を設置する」。社員が気軽に相談できる窓口を早期に提供する。担当者は複数で、男性と女性を配置するのが望ましい。ハラスメントに関するコンサルティングを手掛けるクオレ・シー・キューブの稲尾和泉取締役は次のように語る。「担当者には、被害者と行為者から中立的な立場で聞き取りを行う、安易な助言や判断はしないといった専門スキルが求められる。研修などで人材を育てておく必要がある」

 最後のステップは「再発防止のための取り組み」。取り組み内容や結果を定期的に検証して見直し、再発防止策の策定と実施につなげる。