全2681文字
PR

官民のマッチング支援や防災技術の共通基盤の整備など、国は「防災テック」を後押しする。中長期的な視点から、防災テックの将来像や実装に向けての課題の検討も進めている。防災と先端技術の双方の知見を有する民間企業同士の協業も不可欠だ。

 大規模な自然災害の頻発を受けて、スマートフォンから人工衛星まであらゆる技術を駆使して災害対応の効率化や高度化を目指す「防災テック」に期待が集まっている。

 国も防災テックの普及を後押しする。内閣府は「防災×テクノロジータスクフォース」を設置し、防災テックを活用するための施策を検討。2020年6月に公表した取りまとめで、テクノロジー活用の将来像とともに7つの具体的な施策を示した(図1)。

図1■ 内閣府が省庁横断で技術活用策をまとめる
図1■ 内閣府が省庁横断で技術活用策をまとめる
内閣府が「防災×テクノロジータスクフォース」で取りまとめた施策。2021年度に「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」を立ち上げ、自治体の新技術導入を後押しする。内閣府の資料を基に日経コンストラクションが作成
[画像のクリックで拡大表示]

 普及に向けての課題は、自治体のニーズと民間企業が持つ先端技術をどうマッチングさせるか。21年度に「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」を設立し、マッチング支援やモデル自治体での実証を進める予定だ。

 様々な防災テックの基盤となるインフラの整備も必要だ。人工衛星による被災画像や住民から寄せられる災害情報の収集・共有、被災者支援制度のデータベース構築、手続きのデジタル化などが進められる。

 さらに内閣府は20年12月、「デジタル・防災技術ワーキンググループ」を設置。目指すべきデジタル防災技術の未来像を議論する「未来構想チーム」と、防災技術を実装するうえでの課題を洗い出す「社会実装チーム」に分かれて検討している(図2)。

図2■ 未来構想と社会実装の2チームで検討
図2■ 未来構想と社会実装の2チームで検討
内閣府が設置した「デジタル・防災技術ワーキンググループ」は、「未来構想チーム」と「社会実装チーム」で検討を進める。内閣府の資料を基に日経コンストラクションが作成
[画像のクリックで拡大表示]

 社会実装チームでは、防災分野のデジタル化を進めるうえでの問題点、防災関連システムの使い勝手や機能の向上、高度化の方向性を検討する。両チームとも21年5月中に取りまとめを行う予定だ。