一定の周期で地表を観測する人工衛星はインフラのモニタリングと親和性が高い。2種類の衛星データを組み合わせることで、災害時にも広域かつ迅速に対応できる。日本上空を周回する人工衛星の予定を踏まえ、適切な衛星データを選び出す。
地球の周りを回る人工衛星は、地上のある地点を一定の周期で観測できる。しかも、一度に広い範囲のデータを取得可能だ。地表面や構造物などインフラのモニタリングとの親和性が高く、その特徴を生かした防災技術の開発も活発に進んでいる。
スカパーJSAT(東京都港区)とゼンリン、日本工営が2021年4月に開始した「衛星防災情報サービス」も人工衛星技術の特徴を生かしている。スカパーJSATの衛星データ、ゼンリンの地図データ、日本工営のインフラに対する知見と、3社の強みを組み合わせた。
同サービスでは、人工衛星で取得したデータを使って、水害や土砂災害などの発生時に被害状況を迅速に把握し、救難や復旧に役立てる。浸水や土砂崩れの範囲、規模などを自動で算出し、自治体の職員自らが結果をブラウザー上で閲覧できる(図1)。
平時には、地表面をモニタリングする。日本工営が地滑りや土砂崩れなどのリスクを判定し、災害の予兆を可視化。地震や工事などで変動した地盤も把握できる。危険が生じた場合はアラートで知らせる。