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大成建設は二酸化炭素から製造した炭酸カルシウムの粉を混和材として使う「カーボンリサイクル・コンクリート」を開発した。アルカリ性を示す材料を混ぜることで、中性化の問題に対処した。粉を混ぜるだけなので現場打ちのコンクリートへ導入するハードルは低い見込みだ。

 二酸化炭素(CO2)を鉄筋コンクリート構造物へ固定する際に、中性化の問題は避けて通れない。温暖化ガス抑制のためにはコンクリートにできるだけ多くのCO2を吸わせたい。しかし、吸わせるほどコンクリートの特徴である強アルカリ性が中和されてしまい、鉄筋を覆う不動態被膜が破壊。鉄筋のさびる可能性が高まってしまう。

 大成建設が2021年2月に発表したカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle(ティー・イーコンクリート/カーボンリサイクル)」は、ある材料の使用でこの問題を解決する。カルシウムにCO2を反応させて生成した炭酸カルシウムの粉末だ(写真1)。

写真1■ カルシウムに二酸化炭素(CO<sub>2</sub>)を反応させて生成した炭酸カルシウムの粉末。CO<sub>2</sub>を原料とした炭酸カルシウムのカーボンリサイクル品はまだ市場に出回っていない。そのため、石灰石の焼成で出た炭酸ガスから作った代替品を使用した(写真・資料:大成建設)
写真1■ カルシウムに二酸化炭素(CO2)を反応させて生成した炭酸カルシウムの粉末。CO2を原料とした炭酸カルシウムのカーボンリサイクル品はまだ市場に出回っていない。そのため、石灰石の焼成で出た炭酸ガスから作った代替品を使用した(写真・資料:大成建設)
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 CO2は水に溶かすと酸性を示す。ところが、炭酸カルシウムにすれば弱アルカリ性となる(図1)。カーボンリサイクル・コンクリートは、この炭酸カルシウムの粉末を混和材として使い、強アルカリ性を持つ高炉スラグ主体の結合材で固化させるため、アルカリ性を維持したまま打設できるというわけだ(写真2)。

図1■ アルカリ性の材料を混ぜるため中和の恐れがない
図1■ アルカリ性の材料を混ぜるため中和の恐れがない
(写真・資料:大成建設)
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写真2■ 直径10cmのコンクリート供試体の切断面。右はpH指示薬の噴霧後。変色部は強アルカリ性を示す(写真・資料:大成建設)
写真2■ 直径10cmのコンクリート供試体の切断面。右はpH指示薬の噴霧後。変色部は強アルカリ性を示す(写真・資料:大成建設)
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 加えて、コンクリートの空隙にCO2を吸着させるわけではないので、強度低下の心配がない。カーボンリサイクル・コンクリートの圧縮強度は20~45N/mm2。スランプは15cm、スランプフローは60cmと普通コンクリートと同等の性能を持つ(写真3)。

写真3■ カーボンリサイクル・コンクリートのスランプは15cm。普通のコンクリートと同等だった(写真・資料:大成建設)
写真3■ カーボンリサイクル・コンクリートのスランプは15cm。普通のコンクリートと同等だった(写真・資料:大成建設)
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 打設中に炭酸カルシウムの粉末を混ぜるだけなので、生コン工場にある通常の設備で製造できる点も大きな特徴だ。

 「現場打ちのコンクリートに使える点で、ユーザーの関心は非常に高い」。大成建設社会基盤技術研究部材工研究室の大脇英司主幹研究員はこう話す。