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コンクリートの練り混ぜ時に液化二酸化炭素(CO2)を噴射して吸収させるユニークな技術が、北米で急拡大している。高速道路や世界的なIT企業の社屋に使われている他、日本でも會澤高圧コンクリートなどが目を付けて、実用化を急ぐ。

 2007年に設立したカナダのCarbonCure(カーボンキュア)が持つ二酸化炭素(CO2)固定技術に世界が注目している。

 米Microsoft(マイクロソフト)創業者のビルゲイツをはじめとする富豪が共同で設立したファンドが出資した他、米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)の環境ファンドも投資している。

 カーボンキュアの技術をコンクリートに実装した例は数多い。米ハワイ運輸局は19年、高速道路のインターチェンジへのアクセス道路でコンクリート舗装へ適用したと発表(写真1)。115m3を打設して、1700kg以上のCO2削減に寄与した。

写真1■ ハワイ州の高速道路のコンクリート舗装にカーボンキュアの技術を利用した(写真:カーボンキュア)
写真1■ ハワイ州の高速道路のコンクリート舗装にカーボンキュアの技術を利用した(写真:カーボンキュア)
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 建築ではLinkedIN(リンクトイン)がカリフォルニア州シリコンバレーに建設した新本社の社屋に、カーボンキュアの技術を利用したコンクリートを打設(写真2)。他にもアマゾンが、バージニア州に建てる第2本社ビルなどへ使用する方針を発表している。

写真2■ リンクトインの新本社(写真:カーボンキュア)
写真2■ リンクトインの新本社(写真:カーボンキュア)
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 カーボンキュアはこれまでに累計で10万t超のCO2を削減した実績がある。加えて、30年までに年間5億tの削減をミッションに掲げる。

 そんなカーボンキュアの技術に目を付け、日本でも食指を動かす企業が出てきた。20年7月には會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市)がライセンス契約を締結。21年1月には、三菱商事が資本・業務提携契約を締結した。日系企業では初の株主となる。