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鹿島などが共同開発した二酸化炭素(CO2)を固定するコンクリート「スイコム」。特殊な混和材を入れて養生中にCO2を吸収させる。約10年前に実用化しており、舗装ブロックや埋設型枠など2次製品で実績がある。現場打設への適用に向けた取り組みも始まった。

 経済産業省は2020年12月に発表した「グリーン成長戦略」に、二酸化炭素(CO2)を吸収するコンクリートの販路拡大へ取り組む旨を盛り込んだ。そこに唯一、名を連ねている技術が、鹿島と中国電力、デンカが共同で開発した「CO2-SUICOM(スイコム)」だ(写真1)。

写真1■ 島根県の国道の歩車道境界ブロックにスイコムを適用した(写真:鹿島)
写真1■ 島根県の国道の歩車道境界ブロックにスイコムを適用した(写真:鹿島)
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 実用化はCO2を固定するコンクリートの中でも早い方だ。研究開始は08年。試験施工などを経て、13年にプレキャストコンクリート製品メーカーであるランデス(岡山県真庭市)が販売を始めた。

 スイコムは、コンクリートの養生中にCO2を固定する技術だ。デンカが持つ消石灰を原料とした特殊な混和材「γ-C2S」を、5~30%の割合でセメントと置換する。特殊混和材は水とは反応せず、CO2とだけ反応して固まる。

 脱型後のコンクリートを高濃度のCO2を入れた養生槽に置くだけで、大量のCO2を染み込ませられる(写真2)。

写真2■ 島根県浜田市にある三隅発電所にコンテナ養生槽を設置した(写真左)。養生槽内にはコンクリートを置き、発電所から出る排ガスを養生槽に入れる(写真:鹿島)
写真2■ 島根県浜田市にある三隅発電所にコンテナ養生槽を設置した(写真左)。養生槽内にはコンクリートを置き、発電所から出る排ガスを養生槽に入れる(写真:鹿島)
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 加えて、セメントの一部に石炭灰や高炉スラグなどの産業副産物を利用すれば、コンクリートの製造に伴う排出量以上のCO2を吸収できる(図1)。コンクリート1m3当たりで、従来よりもCO2を300kg減らせる計算だ。

図1■ 炭酸化によってコンクリートの組織は緻密化
図1■ 炭酸化によってコンクリートの組織は緻密化
スイコムと普通コンクリートの特徴(資料:鹿島)
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 これまでに十数件の販売実績があり、スイコムで約25tのCO2排出量を削減した。

 鹿島技術研究所土木材料グループの取違剛主任研究員は次のように話す。「炭酸化によってコンクリートの空隙が埋まるため、圧縮強度は通常のコンクリートの1.2倍程度に上がる。それを見越して、セメント量を減らせる」