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製造過程で多くの二酸化炭素(CO2)を排出するセメント産業。太平洋セメントは、自社の工場で排出するCO2を回収して利用する技術の開発に取り組む。2030年には、炭素を循環させてセメントを製造するプロセスを、工場に実装する方針だ。

 国内では電力と鉄鋼に次いで、二酸化炭素(CO2)の排出量が多いセメント産業。セメントを製造する過程で、化石燃料の燃焼と石灰石の脱炭素の化学反応によって大量のCO2が排出されてしまう。セメントの製造に由来するCO2排出量は、日本全体の数パーセントといわれる。

 低炭素、脱炭素の社会実現に向けて、いち早くかじを切った企業がある。大手の一角である太平洋セメントだ。2018年度から三重県いなべ市にある藤原工場で、セメントを製造するキルン(回転窯)から排出されるガスを対象に、CO2を分離・回収する試みを始めた(写真1)。

写真1■ 三重県いなべ市にある藤原工場。セメントを製造するキルンから排出されるガスを対象に、1日当たり20kgのCO<sub>2</sub>を分離・回収している(写真:太平洋セメント)
写真1■ 三重県いなべ市にある藤原工場。セメントを製造するキルンから排出されるガスを対象に、1日当たり20kgのCO2を分離・回収している(写真:太平洋セメント)
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 21年9月からは埼玉県熊谷市にある熊谷工場で、1日当たり10t程度のCO2を回収する設備を設置し、実証実験を開始する。この規模の回収量は国内で最大となる。

 同社にとっての最重要課題は、「セメント工場からのCO2排出量の削減」だ。CO2を回収するだけでは不十分で、どこかで利用するか、貯留しなければ、排出量の実質的な削減にはつながらない。そのため、回収したCO2をセメントの原料や建設資材へ活用する技術の開発についても、本腰を入れ始めている。