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IT専門スタッフが2週間常駐

 遠隔代理立会は、20年9月にこの現場で始めた遠隔臨場が発展して生まれた(写真2)。主に3つの取り組みで実現を後押しした(図3)。

写真2■ 静岡県小山町にある新東名高速道路用沢跨道橋の建設現場。遠隔臨場や定点カメラによる遠隔管理を導入している(写真:日経コンストラクション)
写真2■ 静岡県小山町にある新東名高速道路用沢跨道橋の建設現場。遠隔臨場や定点カメラによる遠隔管理を導入している(写真:日経コンストラクション)
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図3■ 3つの取り組みで遠隔臨場を発展させた
図3■ 3つの取り組みで遠隔臨場を発展させた
大林組への取材を基に日経コンストラクションが作成(写真:日経コンストラクション)
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 第1に、IT専門の支援スタッフを用意した。大林組は現場事務所に2週間、「デジタルコンシェルジュ」を1人配置。機器の使い方に対する職員の疑問などにその場で答えられるようにした。現在は月に約1回、数日間にわたって支援している。

 22年度末には、全国で現場3カ所につきデジタルコンシェルジュ1人を充てる体制の構築を目指している。

 第2に、機器を現場に導入しやすくした。ウエアラブルカメラにはセーフィー(東京都品川区)の新型機「Safie Pocket2」を採用。本体にバッテリーや通信機能を内蔵し、現場での機器設定が不要だ。

 タブレットにはMetaMoJi(メタモジ、東京都港区)の帳票アプリ「eYACHO」を入れ、受発注者や試験現場の担当者が1台ずつ持つ。数値や図形など記入した内容をリアルタイムに共有できるため、受注者が説明したい箇所をマークして発注者に指示するといった使い方が可能だ。

 第3に、受発注者で協議して各担当の責任を明確にした。協力会社の有資格者が試験に立ち会う際には、施工者である大林組の有資格者がオンライン上で確認して試験結果に責任を負うこととした。