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多くの人手と時間がかかり、悩みの種だったコンクリートの配筋検査。最近、画像解析技術を用いて自動で鉄筋の間隔や径を算出するシステムが続々と登場している。国土交通省では、配筋検査システムと遠隔臨場を組み合わせた業務改革を全国で試行する考えだ。

 鉄筋にチューブ状のマーカーを取り付け、黒板に必要事項を書き込み、検尺ロッドを置いて写真撮影。測った数値を野帳に書き込み、事務所に戻って整理する。こうした配筋検査の面倒な作業を軽減しようと、多くの会社が自動化に取り組んでいる。

 国土交通省も官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)を活用したプロジェクトで後押しする。2020年度はこのプロジェクトの下、IHIインフラ建設、鹿島、清水建設、JFEエンジニアリング、三井住友建設をそれぞれ含む5つのコンソーシアム(企業連合)が、配筋検査の自動化システムを試行した。

 その中で一歩進んでいるのが清水建設とシャープで構成するコンソーシアムだ。「我々は試行ではなく、既に“実装”している」と、清水建設技術研究所インフラ技術グループの吉武謙二グループ長は胸を張る。他のコンソーシアムは、システムを使った検査と従来手法の検査の両方を実施して精度などを検証。対する清水建設の現場では従来手法を省き、システムで自動計測した数値を、正式な検査結果として採用した。

 同社などのシステムの特徴は、3眼カメラを使用する点だ(写真1図1)。各レンズで撮影した3枚の画像のずれから、奥行きを含めた3次元情報を把握。画像解析で鉄筋の径や配筋間隔などを自動算出する。3次元で位置を把握するので、手前と奥の2段の鉄筋を同時に計測できる。

写真1■ 清水建設は現場で3眼カメラを使用。三角測量の原理で距離を割り出す(写真:清水建設)
写真1■ 清水建設は現場で3眼カメラを使用。三角測量の原理で距離を割り出す(写真:清水建設)
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図1■ 3眼カメラで鉄筋を立体視
図1■ 3眼カメラで鉄筋を立体視
3眼カメラで撮った3枚の画像同士のずれから、3次元で鉄筋の位置を把握し、間隔などを正確に算出した。結果の改ざんは、3枚の画像の編集が必要なので極めて困難(資料:清水建設)
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 カメラから鉄筋までの距離は1m程度。撮影距離が取れない場合は、斜めに撮っても大丈夫だ。最大45度まで傾けられるという。精度は鉄筋径で±1mm、配筋の平均間隔で±5mmと、管理基準内に収まっている。

 このシステムを使えば、通常3人がかりの配筋検査が1人で済む。東北中央自動車道東根川橋(福島県伊達市)の上部工事では、1ブロック当たりの検査時間を従来手法の20時間から5時間に削減できた。