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国産の産業用ドローンを採用

 「飛行を申請してから許可が下りるまで1カ月もかかった」。実証実験を担当した中電技術コンサルタントの荒木義則・先進技術センター長はこう話す。詳細な飛行ルートや万一故障した場合の落下範囲など、事細かく資料の提供を求められた。

 同社は19年度にも紀伊山系砂防事務所からドローンを使った調査・点検業務を受託していた。その際もレベル3への挑戦を考えたが、無理だと判明した。機体の信頼性に関わるデータがなかったからだ。

 中電技術コンサルタントによると、19年度に使うつもりだったのは中国DJI製の「Phantom4RTK」や「Mavic2Pro」など、広く普及している機体だった。しかし、機体の初期故障期間などに関するデータをメーカーに開示してもらえず断念した。

 レベル3飛行は審査が厳しく、高い安全性が求められる。「一般に広く使われる機体はホビー用と見なされ、許可が下りにくいようだ」と荒木センター長は語る。今回の実験では国産の産業用ドローンを選んだ。撮影用と中継用ともに自律制御システム研究所製の「ACSL-PF2」だ。

 防災分野へのドローン活用は今後も大きく広がりそうだ。出水時の現地調査は危険で、現場へのルートが塞がっているケースも多い。広い範囲を調査できる目視外飛行は、こうした問題を解決する切り札となる。砂防堰堤など構造物の点検にも利用できる。

 「将来は、事務所や監督官詰所などにドローンを配備し、ボタン1つで既定のルートを勝手に飛んでいって点検できるようになればいい」。紀伊山系砂防事務所調査課の小杉恵課長はこう期待している。