全1273文字

スランプロスはほぼなし

 「スラグ固化体はコンクリートの代替品としてだけでなく、長所を生かせば、既存のコンクリートとすみ分けできると考えている」。奥村組土木興業環境開発本部の藤森章記技術部長は、こう評価する。

 スラグ固化体といえば、原料の製造時に排出するCO2をほぼゼロにできる点に注目が集まりがちだ。しかし、実は他にも大きな特徴がある。

 「高い流動性を持ち、練り混ぜ時から120分間、スランプロスはほぼなかった」(写真3図2)。奥村組土木興業東京支店工事部の多田圭一郎次長はこう話す。

写真3■ スランプフローは39cmと高い流動性を示したため、バイブレーターは補助的な使用に限定した(写真:奥村組土木興業)
写真3■ スランプフローは39cmと高い流動性を示したため、バイブレーターは補助的な使用に限定した(写真:奥村組土木興業)
[画像のクリックで拡大表示]
図2■ 120分たってもスランプロスはほとんどなし
図2■ 120分たってもスランプロスはほとんどなし
重力式擁壁はスランプフロー、舗装はスランプで管理している(資料:奥村組土木興業)
[画像のクリックで拡大表示]

 土木学会のコンクリート標準示方書によると、外気温が25℃以下の場合、練り混ぜ開始から打ち込み終了までの時間は120分以内という縛りがある。コンクリートが固まって打ち込みづらくなるためだ。その点、スラグ固化体は運搬で多少時間が延びても性状が変わらない。

 「従来は品質の確保が難しかった遠方での打設ができるようになるかもしれない。例えば、海岸沿いで練ったコンクリートを山間部の砂防ダムなどへ運搬して打設しても問題ないのではないか」(藤森技術部長)

 今後の課題は、骨材の含水率の制御だ。人工の骨材なので吸水率は変わる。単位水量が多くなるとブリージングが出過ぎて品質に悪影響を与えかねない。奥村組土木興業は大学などと連携して、施工方法や養生方法、基準配合などでブリージングを減らすよう検討する方針だ。