製造時に大量の二酸化炭素を排出するセメントを使わなくても、構造部材としての圧縮強度を確保できるコンクリートがサスティンクリートだ。単位水量を減らして特殊な骨材を使うことで、初期のひびにつながる自己収縮と乾燥収縮をほぼゼロに抑えられる。
セメントを使わなくても高強度を実現できるコンクリート「サスティンクリート」を開発した三井住友建設(写真1)。脱炭素社会で「セメントゼロ」が脚光を浴びるなか、同コンクリートの最大の特徴は、ひび割れの原因となる自己収縮と乾燥収縮がほぼゼロである点だ。
「ひび割れのリスクを大幅に低減できるため、耐久性が高まる。ライフサイクルを通してカーボンニュートラルに貢献する技術だ。国土強靱化にもつながる」。こう説明するのは、三井住友建設技術本部の松田拓建設基盤技術部長だ。
サスティンクリートはもともと、セメントを使った超高強度コンクリートの開発から始まった。コンセプトは当初から「自己収縮しないコンクリート」だった。他社よりも開発に時間をかけて、自己収縮しない1mm2当たり200Nの圧縮強度を誇るコンクリートを生み出した。
そして次に目指したのがセメントゼロだ。セメントをフライアッシュなどの産業副産物に全て置き換え、少量の膨張材の添加で、材齢28日で同70Nを確保できると分かった。セメントを使わないコンクリートを構造部材に利用できる点を売りに、他社との差別化を図る。
「プレストレストコンクリート(PC)橋梁では、緊張材の力が抜けることに対する設計の配慮が必要だ。収縮やクリープが少ないサスティンクリートでは、そういった影響を抑えられる」(松田建設基盤技術部長)
これまでに短繊維補強コンクリートとして、せん断補強筋を省略したPC橋へ適用した。今後、高速道路の更新工事で、プレキャスト床版同士を現場で接合するための充填材へ使うことが決まっている(写真2)。
床版の接合部のコンクリートは、自己収縮などでひびが入るケースが少なくない。舗装すると劣化の進み具合が分からないため、対応が難しくなる。初期の劣化をなるべく抑える技術が求められていた。