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水和反応と異なるメカニズムで固まるジオポリマー。セメントを使わないコンクリートの代替材として、早くから二酸化炭素の排出削減効果が注目されていた。最近では大林組などが高温のスラグ置き場の擁壁に採用。通常のコンクリートよりも高い耐熱性能を持つと印象づけた。

 セメントを使わない硬化体として低炭素社会の実現に寄与すると、早くから期待を集めている材料がジオポリマーだ。実用化が海外で先行し、オーストラリアでは空港のエプロン部で採用された(写真1)。国内でも鉄道の枕木や下水道の集水升など2次製品で実装されている。

写真1■ オーストラリアのブリスベンにあるウエルキャンプ空港。エプロン部にジオポリマーによる舗装を施工した(写真:WAGNERS)
写真1■ オーストラリアのブリスベンにあるウエルキャンプ空港。エプロン部にジオポリマーによる舗装を施工した(写真:WAGNERS)
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 ジオポリマーの構成材料は大別して3つ。骨材と、石炭火力発電所から出るフライアッシュや製鉄所から排出する高炉スラグ微粉末など活性フィラー、水ガラスやカセイソーダーなどを混ぜたアルカリ活性剤溶液だ。

 固化のメカニズムは、セメントによる水和反応で固化するコンクリートと全く異なる(図1)。活性フィラーから溶出した金属イオンがアルカリ活性剤溶液などと接するとポリマー化。活性フィラー粒子を無機質の接着剤で固めたような構造になる。

図1■ 無機質の不定形ゲルで硬化
図1■ 無機質の不定形ゲルで硬化
(資料:池田攻・山口大学名誉教授)
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 国内では2015年に日本コンクリート工学会が「建設分野へのジオポリマー技術の適用に関する研究委員会」を発足。そして19年度には土木学会コンクリート委員会が、「土木分野におけるジオポリマー技術の実用化推進のための研究小委員会」(委員長:一宮一夫・大分工業高等専門学校教授)を設立した。性能規定型設計法の適用調査や、基準類作成に向けた諸外国の情報の整理などを進め、ジオポリマーの実装を急ぐ。

 ただここに来て、ジオポリマーを巡る環境が変わりつつある。脱炭素社会を見据えた石炭火力発電所の縮小に伴って、副産物のフライアッシュの生成量が減る可能性が高まり出した。一宮教授はこの点で、ジオポリマーの実用化に一抹の不安を覚えている。

 それでも一宮教授は、「実用化への思考をやめるのは避けたい。フライアッシュの代替材料が見つかれば、ジオポリマーを実用化できるように小委員会では設計などのフレームを構築しておきたい」と意気込む。

 代替材料としてはもみ殻やパームオイル、ガラス、スラグ、都市ごみ焼却灰、下水汚泥灰、水処理施設のスラッジなどが考えられる。「シリカやアルミナを比較的多く含んでいる材料がフライアッシュの代替材になる可能性が高い」(一宮教授)