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おおや・かつゆき
おおや・かつゆき
1975年生まれ。98年4月にパシフィックコンサルタンツに入社、横浜支社第一技術部に配属。2016年10月に東京本社交通基盤事業本部インフラマネジメント部技術課長、18年10月に同本部構造技術部技術課長、20年10月から現職(写真:日経コンストラクション)

 若手への技術伝承を通じて、ベテランの意欲向上や再生を図る。そんな人材育成の仕組みを構築したのが、パシフィックコンサルタンツ交通基盤事業本部構造技術部橋梁室技術次長の大宅克幸氏だ。

 同事業本部に所属する50~60代のベテランと20~30代の若手で、2人1組のチームを結成。2人で業務をこなしながら、ベテランが自身の技術や経験を若手に伝えていく。

 若手がベテランに弟子入りして、師匠(ベテラン)から学ぶイメージだ。大宅氏が発案し、「徒弟制度」と名付けた。全社的な制度ではないが、同事業本部の構造技術部など5つの部門で2018年に導入した。

 ベテランは自身の技術を若手に伝えたいと思っている。若手もベテランから学びたいという気持ちが強い。ただ、年齢が2回りも離れていると、互いにどう接していいか分からない。大宅氏は「制度化して強引にくっ付ければ、コミュニケーションが取りやすくなる」と考えた。

 実際、徒弟制度は、若手の技術力の底上げやベテランの意欲向上につながっている。制度導入を機に、ベテランが若手向けの勉強会を自発的に開催する動きも出てきた。職場の雰囲気も明るくなった。

ベテランが生き生き働ける職場を

 社員にとって、年齢が50代に達すると、会社人生の先が見えてくる。役職や給料が上がらない中で、仕事への意欲を失う人も少なくない。優れた知見と経験を持つベテランが残りの会社人生を悶々(もんもん)と過ごすのは、組織にとっても損失だ。

 構造技術部長の山口恒太氏は、「若手が自分に付いてきてくれると、『何かを教えたい』という意欲ががぜん増してくるベテランは多い。誰もが持っている『人と関わりたい』という思いが触発されるのではないか」と、徒弟制度の効用を説く。

 大宅氏について、山口氏は「若手とベテランの両方を引っ張っていく力がある。ムードメーカーで、対人力が高い」と指摘。橋梁室長の南口浩志氏も、「職場への気配りや目配りが行き届いている」と評価する。

 大宅氏は「本当にすごい技術を持っているベテランは多い。そうした人が生き生きと働ける職場をつくりたい」と力を込める。徒弟制度には、ベテランの再生を通じて組織力の向上を図る狙いもある。