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土木構造物の点検・診断・補修のコツを実例を基にクイズ形式で解説する連載を始める。インフラの維持管理では誤った診断や過剰な補修の事例が尽きない。いまさら聞けない基礎知識を身に付けつつ、維持・補修の勘所を養ってほしい(日経コンストラクション)。

 ある自治体に、2007年に拡幅した橋長3.5m、幅員12.9mの小規模な床版橋がある(写真1図1)。

写真1■ 地方道に架かる長さ3.5mの橋梁。拡幅を繰り返して現在は幅員が12.9mだ
写真1■ 地方道に架かる長さ3.5mの橋梁。拡幅を繰り返して現在は幅員が12.9mだ
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図1■ 4種の床版を持つ拡幅橋梁
図1■ 4種の床版を持つ拡幅橋梁
床版の平面図
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 これまでにも拡幅したことが分かっているが、その年次は不明だ。デッキプレート床版2、床版3とRC床版(写真2)で、平均幅員6.25mの橋梁として使用していた。しかしバス停を設置するに当たり、床版1を07年に拡幅した。

写真2■ RC床版を下から見た様子
写真2■ RC床版を下から見た様子
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 16年度の1巡目の点検で出た診断結果は、判定区分III(道路橋の機能に支障が生じる可能性があり、早期に措置を講ずべき状態)であった(図2)。

図2■ 床版に漏水、遊離石灰が見られ判定区分IIIに
図2■ 床版に漏水、遊離石灰が見られ判定区分IIIに
点検報告書
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 具体的には床版2の劣化が進んでいたため、その後、補修して判定区分II(道路橋の機能に支障が生じていないが、予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態)に下げた。しかし補修工事が完了したにもかかわらず、20年度に実施した2巡目の点検で再び判定区分IIIと評価された。

 16年度と20年度の点検時の写真を確認したところ、床版2の更新状況が確認できる(図3)。一方で、16年度の点検では軽微であった床版3の腐食が進行し、床版がランクIIIと評価されたため判定区分もIIIとなったことが判明した。

図3■ 床版3の損傷が進む
図3■ 床版3の損傷が進む
2016年度の1巡目と21年度の2巡目における床版の様子
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 どの自治体でも補修に回せる予算は少ない。それを踏まえ、20年度の点検結果に基づく判定区分の是非について、選択肢から最も適切だと思われる解答を選んでほしい。

選択肢
  1. 拡幅橋梁でも床版は主部材なので、判定区分IIIであれば5年以内に部分補修を行う
  2. 床版の機能に応じて優先順位を付けて補修する
  3. 判定区分IIIでも「監視」という措置を講じて、次回点検まで進捗度合いを追跡調査する