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機械化施工の専門家の話からは、建設業界に生産性向上の大きな波が起こり始めたことが分かる。人口減少や高齢化、自然災害の増加に伴い、自動化や無人化などの技術の需要が高まるのは必至だ。長期的な視点で着実に備える必要がある。

 鹿島に限らず施工の自動化技術を開発する大手建設会社が増えている。建設業界で変革の波は既に生まれていると言えるだろう。この波にうまく乗るには、国内の建設業界の外にも目を転じる必要がある。

 この先、施工の自動化や無人化が確立され、既存の建設工事に比べて品質を確保しながらコストを抑えられるようになる可能性は小さくない。そうなれば、既存の手法に頼る建設会社は淘汰されるだろう。従来の方法に固執するばかりでは、リスクは高い。

 背景にあるのは担い手が減るという問題だ。高齢化で人材獲得は既に難しくなっている。その上、マシンガイダンスやマシンコントロールが普及することで、若手に今の熟練オペレーターと同程度の経験を積ませるのは難しくなる。個人の技能だけに依存する従来のやり方は限界を迎えつつある。

 自動化は建設業界内部の課題を解決するだけでなく、国内外で新たな市場ニーズを開拓する可能性も秘めている。鹿島はJAXAと組んで、宇宙を新たなフィールドに据える試みを始めた。自動化した重機のリースなど、新たな需要も期待できる。もちろん市場の拡大とともに、ライバルも増えるだろう。異業種はその代表格だ。

 既に重機メーカーではコマツが、造成工事での盛り土の量や土砂の運搬経路をコンピューター上で分析している。コマツのサービスを使いこなす建設会社は適切な運搬土量や重機の走行経路を自動で計算し、施工計画を効率良く作成。浮いた時間や人的資源を他の工程に回せるようになった。

 海外の動向にも注意すべきだ。技術やルールを標準化しようという機運が、日本の外でいつ高まってもおかしくない。技術を持続的に磨いていくためにも、世界市場への主体的な働きかけは重要だ。

 自動化技術の普及には法令・基準の整備や重機の調達など、乗り越えなければならない課題はあるものの、鹿島や施工の自動化に詳しい専門家たちの声からやるべきことの一端は見えている。建設会社1社だけでできることは限られる。様々なプレーヤーが課題に向き合い、この分野で世界をリードできるよう歩を進めることが肝要だ。