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幅広い分野で身近になったAIを、自らの業務に活用したいと考える土木技術者は少なくないはずだ。今号からの新連載では、現場で使うAI開発を手掛ける知能技術(大阪市)の大津良司代表が、土木分野でAIを使いこなす基本を事例で紹介。まずは「AIとは何か」を解説する。(日経コンストラクション)

 様々なところでAI(人工知能)という言葉を聞くようになった。囲碁や将棋のプロ棋士を破った、医師が見つけられなかった希少疾患を特定した、SNSの膨大な投稿情報からヒット商品を生み出した──。AIによる新たな偉業や発見のニュースを目にすることが日常となっている。

 AIが幅広い分野で身近になってきた昨今、土木に携わる技術者が自分たちでも使えるのでないかと興味を持つのは当然だ。土木技術者にとって、業務でのAIの使い方には大きく2通りが想定できる(図1)。

図1■ AIが土木の課題を解決する
図1■ AIが土木の課題を解決する
土木分野の業務でのAI活用のイメージ(資料:知能技術)
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 1つは、コンピューターにデータを入力して、結果もコンピューターで完結するAIだ。既に持っている画像や文章、様々なデータをコンピューターに入力してAIを使い処理をする。主にオフィスで使う、いわば「静のAI」だ。

 例えば、写真からコンクリートのクラックを検出する画像認識や設計用の計算などが挙げられる。温度変化や振動、ひずみ、音などの変化を捉えるといったように、時間軸を持たせた処理も可能だ。

 これまで経験で定めていた固定的な閾値(いきち)を、経年変化を踏まえた変動的な閾値に変えることもできる。劣化した橋梁の予防保全や早い段階での異常通知にもつなげられる。

 もう1つは、現場で使う「動のAI」だ。同じようにコンピューターで処理するが、その結果をコンピューターで完結させず、他の装置の制御などに使う。例えば、重機の自動運転などで、周囲の状況を計測して運転指令を出すものだ。

 土木技術者がAIを使いこなすといっても、AIエンジニアになる必要はない。現場作業やデスクワークをするうえで、ユーザーとして便利に使えるよう、AIエンジニアへ的確に指示できる「土木AIエキスパート」になることを目指したい。