主体性の無さに不満を抱き、世代間のギャップに戸惑いつつも、将来の担い手として期待している──。土木に関わるベテラン・中堅の実務者の多くは、職場で一緒に働く今どきの若手技術者をこんなふうに捉えているようだ。日経コンストラクションの調査で若手に対する実務者の意識が見えてきた。
調査は、日経コンストラクション読者や日経クロステックの会員で30歳以上の土木実務者を対象に、2021年9月29日から10月3日にかけてインターネット上で実施。部署や勤務先で一緒に働く20歳代以下の若手社員に対する不満の有無などを尋ね、計122人から回答を得た。
職場の若手に不満があると回答した実務者の割合は、6割超に上った(図1)。「とてもある」は8.1%にとどまるものの、「ややある」が54.5%と過半を占めた。許容できないほどではないが、上司や先輩として見過ごせない不満が多いのだろう。
そうした様子は、具体的な不満を尋ねた設問の回答から分かる。多くの実務者が不満に感じているのは、「自ら学ぶ姿勢がない」(62.9%)、「自律的に動かない」(58.1%)、「積極性がない」(48.4%)といった若手の受け身の姿勢だ(図2)。
もちろん、知識やノウハウのなさにも、もどかしさを感じている。続くのは、「コミュニケーション能力が乏しい」(41.9%)、「社会人としてのマナーに欠ける」(41.9%)、「専門的な技術力がない」(33.9%)といった回答。しかしそれ以上に、主体性や積極性のなさに不満を抱いている。
受け身の姿勢でいれば、大きな失敗を経験せずに済むかもしれない。過去3年以内に若手がトラブルにつながる失敗をしたことがあるかと尋ねた設問には、実務者の4割弱が「ある」と回答。5割の「ない」を下回った(図3)。
「4割弱」という割合の多寡は、評価が分かれるだろう。しかし、若い時期の失敗は、その後の成長につながるといわれる。日経コンストラクションの調査でも、約6割の実務者が、若手が経験した失敗が成長に役立つものだったと評価している(図4)。
若手への不満は、育成するうえでの悩みにもつながっている。逆に、悩みの元になっているからこそ、不満を抱いているともいえる。