建設技能者の処遇改善に向けて、官民を挙げた総力戦が始まった。技能者の賃金2%アップを目指して数々の施策が進む。過去にはバブル期など、人手不足に陥るたびに処遇改善が叫ばれてきたが、景気の冷え込みとともに下火になった。しかし、少子高齢化で若手の確保が厳しくなるなか、今度こそ背水の陣で臨まなくてはならない。

特集
技能者の処遇改善へ総力戦
目次
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「製造業並み」目指して官民で全力
少子高齢化で若手の入職者の確保が難しくなるなか、技能者の処遇改善は喫緊の課題だ。国と建設業団体が先頭に立って、技能者の賃金水準の向上に向けた取り組みを本格化する。この動きに呼応して、技能者の賃金を引き上げる企業も増えてきた。
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レベル別の就業者数で労務費計上へ
技能者の能力評価制度に続いて必要なのが、能力レベルに応じた賃金の仕組みづくりだ。レベル別に賃金の目安を示しても、それを担保する労務費を確保しなくては実現できない。国土交通省は、標準見積書にマネジメントフィーなどを盛り込むよう改定する考えだ。
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運営危機脱しても普及へ多くの課題
事業破綻の危機に陥った建設キャリアアップシステム(CCUS)の料金値上げから1年が過ぎた。5年で全技能者330万人という大風呂敷から大幅に引き下げた登録目標は、今のところクリアしている。収支の面では危機を脱したものの、CCUSの普及に向けた課題は多い。
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加点や費用助成で普及を後押し
建設キャリアアップシステムの普及に向けてインセンティブを設ける動きが活発だ。総合評価落札方式や成績評定で加点制度を導入する自治体が続出している。登録費用などの助成をはじめ、中小の建設会社が登録しやすい環境も整備されてきた。
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労務費の割り増しで収入減対策
不可能と言われてきた建設現場の週休2日に、ようやく実現の兆しが見えてきた。時間外労働の上限規制の適用に先駆けて、国土交通省は週休2日を全工事で適用する方針だ。休日の増加が賃金を減らす問題の解決に向け、大手と中小の建設会社がともに挑戦する。
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原則2次化へ下請け含めた大改革
これまで幾度となく指摘されながら、なかなか改善しなかった建設業の重層下請け問題。今度こそ克服しようと、鹿島が2023年度までに原則2次までとする方針を打ち出した。それを実現するには、山ほどある「できない理由」を一つひとつ明確にして対処する必要がある。