熱海土石流から約1カ月後、大津市の山地から、大雨の影響で盛り土が崩れて道路に流れ出た。地元の測量設計会社が無断で造成した後、市の命令を受けて是正工事を済ませた盛り土だった。市は「想定外の豪雨」で崩れたと見解を述べている。
「地下排水施設がなかったために、地山と盛り土の境に水がしみ込んで、水みちができたのではないか。大雨が降って水みちに水が大量に集まった影響で、過剰間隙水圧が発生したとみられる」
大津市で2021年8月に発生した盛り土崩落の現場を調査した京都大学防災研究所の釜井俊孝教授は、こう述べる。崩壊の起点となった盛り土を写した画像からは、地中を通った水の浸食で開いた穴のようなものを確認できる(写真1)。
崩壊した土砂は約5000m3に及ぶ。国道161号西大津バイパス近江神宮ランプに流れ出た(写真2)。21年7月の静岡県熱海市での土石流からまだ日が浅く、「崩壊の起点が盛り土」という共通の理由で多くの報道が取り上げた。
加えて注目を集めたのは、大津市で崩落した盛り土において、市に無断で造成した経緯があった点だ。以下に詳しく振り返る。