豪雪地帯に立地する建設会社が、担い手不足の除雪を支援するシステムを開発した。作業日報などの作成を容易にする他、除雪機械のオペレーターをサポートする機能も持つ。社内にオペレーター経験者を擁していることが開発に役立った。
フクザワコーポレーション(以下、フクザワ)は、長野市に本社を置く一方で、長野県最北端にあり全域が特別豪雪地帯となっている飯山市に本店を構える。地域の建設会社として除雪業務を地元への貢献の1つと位置付け、自社で除雪機械を保有して受注している(写真1)。
しかし、「利益が出にくく、ボランティアに近い事業」と同社の福沢直樹社長は話す。地球温暖化の影響からか、近年は年によって降雪量のばらつきが大きく、除雪機械が持ち腐れになる年もある。天気予報が外れて、オペレーターなど要員の待機が無駄になることも多い。
逆に、いったん降り出せば、時には夜通し続く過酷な作業となる。受発注者の双方に、担い手不足の危機がしばしば指摘されている。
その切り札として、同社は2017年度から「GPS除雪管理システム」を展開している。除雪に関わる事務処理の他、実作業の省人化を含む、受発注者双方の生産性や安全性の向上を図ったシステムだ。担い手不足の危機を、GPS(全地球測位システム)を利用したICT(情報通信技術)で乗り越えようとしている。
フクザワは建設業の他に建設関連の「ビジネスアプリケーションソフトウエアの開発」を社業の柱とし、約100人いる社員の中にソフト開発専門の社員15人を擁している。開発したソフトは関連会社のワイズを販売窓口として全国展開。除雪に関しても、自社で使うよりは自治体が導入するシステムとして開発した。