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時間外労働を減らす働き方改革は、あと2年あまりで建設会社の法的な責務になる。自社向けに組んだプログラムで、土木工事に付き物の書類業務の自動化を推進。自動化できない業務に割くエネルギーを確保する。

 土木工事は多くの下請け、協力会社との協業で成り立つうえ、関係する法令や規則も多岐にわたる。文書の読み込みや作成といった書類業務のウエートが大きいのは宿命ともいえる。労働時間が長くなる一因だ。

 従業員数約50人の光建(名古屋市)でも、そうした書類業務の多さが社員の労働時間の長さにつながっていた。同社の正田光次朗取締役は、業務改革の一環として、ICT(情報通信技術)の導入による書類業務の自動化を推進する(写真1)。

写真1■ 光建の正田光次朗取締役(写真左)は、現場支援チームの望月隆義主任(同右)らと書類業務の自動化に取り組む(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 光建の正田光次朗取締役(写真左)は、現場支援チームの望月隆義主任(同右)らと書類業務の自動化に取り組む(写真:日経コンストラクション)
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 正田取締役は、異業種の大企業への勤務を経て2020年4月に入社した。現社長の子息で、将来の経営の担い手として期待され、取締役に就任。業務改革を進めるため、まず自社の課題を洗い出した。最重要の課題の1つだと認識したのが、書類業務に伴う時間外労働の長さだ。

 建設会社にとって時間外労働の抑制は、24年4月から労働基準法に基づく罰則付きの責務になる。原則として月45時間以下、年間360時間以下に抑えなければならない。正田取締役は光建の労働実態を目の当たりにして、「このままでは法令に抵触しかねない」と危機感を覚えた。

 各工事での書類業務の量は、発注者の検査を受けるときなどに、現場代理人や監理技術者だけではさばききれないほど増加する。同社では正田取締役の入社前から総務部に現場支援チームを設置し、受注した工事の書類業務を支援させていた。それでも、中小企業である同社ではサポートに限界があった。