全1431文字
PR

東日本大震災の復旧・復興では防潮堤の一部などがまだ施工中で、原発事故の現場付近の復興は始まったばかり

2018年の西日本豪雨の被災地では、河川の付け替えといった大規模な工事が進む

 東日本大震災から10年たった2021年は、12月にようやく三陸沿岸道路の全区間が開通。震災の復旧・復興事業が節目を迎えた。しかし、年を越して22年、あるいは22年度にずれ込む事業も少なくない。

 復興庁が発表した21年3月末時点のインフラ復旧・復興の完了率では、大部分が100%か90%超に達するものの、海岸対策は85%とやや遅れている。宮城県と岩手県がそれぞれ21年秋に明らかにした防潮堤の復旧・復興状況も同様の傾向だ。

 宮城県が発表した21年9月末時点のインフラの復旧状況では、漁港海岸の防潮堤の完成率は76%にとどまっている(図1)。漁港海岸の防潮堤の整備が他の防潮堤と比べて遅れやすいのは施設配置の影響を受けるからだ。通常、最も海側に漁港関連施設を設けた後、その背後に防潮堤を造る。

図1■ 宮城県所管の防潮堤も一部は22年度に完成か
図1■ 宮城県所管の防潮堤も一部は22年度に完成か
宮城県が発表した21年9月末時点の防潮堤の復旧・復興状況。漁港海岸の防潮堤で遅れが目立つ。完成延長には施工中の防潮堤で完成済みの部分を含む。同県の資料を基に日経コンストラクションが作成
[画像のクリックで拡大表示]

 漁港以外に設ける防潮堤でも、現場の状況で工期が長引く場合がある。岩手県は21年11月、所管するインフラ復旧・復興事業のうち9件については22年度内の完成を目指すと発表した。うち6件を防潮堤が占める。大船渡港海岸永浜地区(大船渡市)の防潮堤は完成が遅れている施設の1つだ(写真1)。

写真1■ 東日本大震災で被災した防潮堤の一部は、復旧・復興工事の完成が2022年度に延びる。写真はその事例の1つで、岩手県が所管する大船渡港海岸永浜地区の防潮堤。21年11月に撮影(写真:岩手県)
写真1■ 東日本大震災で被災した防潮堤の一部は、復旧・復興工事の完成が2022年度に延びる。写真はその事例の1つで、岩手県が所管する大船渡港海岸永浜地区の防潮堤。21年11月に撮影(写真:岩手県)
[画像のクリックで拡大表示]

 県河川課の吉田健一・河川海岸担当課長によると、18年12月の工事契約時には21年12月に完成予定だった。しかし、現場で想定よりも広範囲に硬質地盤が見つかり、基礎杭の打設が長引いた。その結果、22年度末まで工期が延びた。

 復旧・復興がほとんど始まっていない地域もある。福島第一原子力発電所に近接し、原発事故で避難した住民が今なお帰還を許されない福島県内の帰還困難区域だ。

 平沢勝栄復興大臣(当時)は21年8月、同区域のうち双葉町など3町村に対しては22年春ごろ、富岡町など3町村については23年春ごろに、それぞれ住民に対する避難指示の解除を目指すと発表した。今後の復旧・復興事業で避難から10年以上を経た住民が帰還したくなるような成果を生み出せるかは大きな課題だ。

 双葉町は福島県いわき市内に避難している役場を町内に戻すと決め、JR双葉駅前で仮設庁舎の整備に着手。22年夏ごろに開庁予定だ。

2022年の動き

東日本大震災から10年以上が経過したが、インフラの一部の復旧・復興は22年以降も続く