石川県小松市に本社を置く江口組は、YouTube(ユーチューブ)やTwitter(ツイッター)などSNS(交流サイト)をうまく活用し、新入社員の継続的な採用につなげている。SNSで会社の様子を事前にある程度把握できるためか、新入社員の離職率を低く抑えている。
地方の中小建設会社の採用活動といえば、会社説明会の開催や学校などを通じた求人票の提出が一般的だ。ただでさえ知名度が低いことに加え、建設業の人気はあまり高くないため、これらの取り組みだけでは応募が来ないケースが少なくない。
そんな中、新入社員などの採用活動にSNSを積極的に活用し、安定した採用実績を残す建設会社が現れた。江口組(石川県小松市)だ。
「SNSによる情報発信を本格的に始めたきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大だった」。江口組の江口充社長は、こう振り返る。
対面で実施する会社説明会などが軒並み中止になり、従来のような採用活動を進められなくなった。そこで、対面でなくても会社の情報を発信できるSNSに目を付けた。江口社長の他、総務部の社員や現場の技術者を含めた計6人のメンバーで構成するSNSチームを2020年3月ごろに結成した。
まず始めたのは、YouTubeへの動画投稿だ。江口組のYouTubeチャンネル「えぐチャンネル!」に投稿した動画は、21年12月時点で100本を超えている。
同社総務部の庄源知加子氏が中心となって、江口組の工事現場の様子を取材する「CHIKACOの現場レポート」や、社員をゲストに呼んでトークを繰り広げる「CHIKACOの部屋」などを投稿している(写真1)。
「どの動画でも社員には笑顔を意識させている。就職活動中の地元の学生などに向けて、土木の魅力を楽しく伝えられるよう心掛けた」(江口社長)