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開通前の道路で寝泊まりしたり、供用後の道路や河川で食事したりくつろいだりする「インフラでの滞在イベント」が増えてきた。これまで土木にそれほど関心のなかった層が参加する機会となり、建設業界への理解を高める一助になっている。

 開通前の耶馬渓(やばけい)道路のトンネル内でディナーを楽しみ、橋の上に泊まるという前代未聞のイベントが、大分県中津市で開催された(写真1)。「耶馬渓トンネルホテル」だ。

写真1■ 大分県内の道路トンネルとしては最長となる「鹿熊ふるさとトンネル」に、仮設レストランをつくった(写真:谷 知英)
写真1■ 大分県内の道路トンネルとしては最長となる「鹿熊ふるさとトンネル」に、仮設レストランをつくった(写真:谷 知英)
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 2021年2月11日~13日に開催した。2日を選んで、1泊する。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言下で開催が危ぶまれたが、県内外から応募が殺到。食事だけの参加者も併せて、計130人が3夜限りのイベントを満喫した。

 宿泊者には、耶馬渓産の古木を使ったテーブルで地元の食材を用いたディナーが振る舞われた(写真2)。食後はトンネル内に設けたバーで、酒をたしなみ、トンネル坑口に隣接する橋上に用意したキャンピングカーで宿泊する(写真3)。

写真2■ Fumihiko Sano Studioの佐野文彦代表が設計した耶馬渓産の古木を使ったテーブル(写真:谷 知英)
写真2■ Fumihiko Sano Studioの佐野文彦代表が設計した耶馬渓産の古木を使ったテーブル(写真:谷 知英)
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写真3■ 参加者は橋上に並べたキャンピングカーで就寝した。早朝はもやがかかっていた(写真:谷 知英)
写真3■ 参加者は橋上に並べたキャンピングカーで就寝した。早朝はもやがかかっていた(写真:谷 知英)
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 仮設費や運営費などの予算は、県地域活力づくり地域創生事業の採択による補助金と、クラウドファンディングによる支援金、宿泊者の参加費で賄った。

 主催者としてイベントを統括したテンポラリ耶馬渓(中津市)の福田まや代表は次のように振り返る。「イベントによって、場所と場所をつなぐトンネルに、人と場所をつなぐという新たな価値を与えられた。さらに、クラウドファンディングで都市の人からお金を集めたことで、地域と都市をつなげるきっかけにもなった」