施工管理技士は、建設会社が存続するために必須の資格だ。技術者の高齢化に悩む吉田組は、資格取得を支援する「塾」を社内に開設。週1回の講座と計画的なOJTを組み合わせて若手を育てる仕組みを整えた。
今のままでは、入札参加に必要な施工管理技士の数を維持できなくなる──。総合建設会社の吉田組(兵庫県姫路市)の壺阪博昭社長は近年、こう危惧していた。建設業の人気低迷などによって新卒の採用や定着がうまくいかず、技術者の平均年齢は50歳近くに上昇。有資格者が減れば会社の等級が下がり、工事を受注できなくなる。将来を見据え、若手の有資格者の確保が急務だった。
そこで吉田組は2021年、若手の育成と有資格者数の確保を両立させる取り組みを始めた。土木系にこだわらず、大学の文系学科の卒業生を中心に32人を採用。1級土木・建築施工管理技士の試験対策を通じて一人前の技術者に育てる(写真1)。
土木系など指定学科以外の大学の卒業生は、1級土木施工管理技士の試験を受験するために4年6カ月以上の実務経験が必要となる(図1)。その期間を力学の知識や測量の技術、現場管理のノウハウなどの習得に充てるわけだ。
新入社員は入社後まず、本社に設けた「吉田勁草(けいそう)塾」で3カ月にわたって講義を受ける。講師を務めるのは、建設系の学校の教員OBや社内のベテラン技術者だ。座学や実習を組み合わせて、試験の合格に必要な基礎知識を教え込む。
次に、新入社員を数人のグループに分けて現場に配属する。ただし、新人は配属後も毎週金曜日に本社に集合し、資格取得に向けた勉強を続ける。遠方の現場にいる新入社員はオンラインで参加。講師は現場で生じた疑問などにも答える。