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2021年11月に公表された会計検査報告では、柵の支柱に関する安全性への指摘が3件に上った。いずれも災害復旧や老朽化に伴う更新だったので、支持力などの検討をせず漫然と造り直していた。支柱周りの「背面土」に対する認識が乏しく、問題に気づけなかった。

 会計検査院が2021年11月に公表した検査報告のうち、土木関係の設計ミスで目立ったのが、柵の支柱に対する指摘だった。神奈川県と広島県がそれぞれ発注した工事のガードレール2件と、鹿児島県が発注した空港の場周柵の計3件で安全性に問題があった。いずれも支柱周りの「背面土」の質量が足らず、支持力が不足していた。支柱が倒れたり、それに伴って周囲の構造物を破損したりする恐れがある。

 今回の会計検査に限って、支柱の安全性を重点的に調査したわけではない。会計検査院によると、3件はそれぞれ別の部署が指摘した案件だ。発注者や設計者の間で、背面土への認識が不十分な実態がうかがえる。

 問題があった3件に共通するのは、いずれも「造り直し」である点だ。以前の柵と同じ物を同じ場所に設置するため、改めて安全性の検討が必要だとは考えていなかった。しかし、以前の支柱が必要な支持力を満たしていたとは限らない。漫然と同じ物を造り直したため、問題のある構造物が再び出来上がってしまった。

 続いて、指摘があった3件の問題点を、詳しく見ていこう。下の写真は、神奈川県が県道44号沿いの水路の更新工事に伴って造り直したガードレールだ(写真1)。何が問題なのか、分かるだろうか。

写真1■ 会計検査院から安全性の問題を指摘された神奈川県道44号の水路とガードレール。水路を造り替える際に、ガードレールも新しく設置し直した(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 会計検査院から安全性の問題を指摘された神奈川県道44号の水路とガードレール。水路を造り替える際に、ガードレールも新しく設置し直した(写真:日経コンストラクション)
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