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護岸の復旧工事で設置した根固めブロックの敷設幅が、技術基準を満たさなかった。発注者は、これと同じ敷設幅で被災を免れた付近の実績から、問題ないと判断。しかし、会計検査院は技術基準をなおざりにした設計を認めなかった。

 付近の構造物は過去の災害で壊れなかったのだから、同じように復旧すれば大丈夫だろう──。そんな考えで設計した護岸の根固め工事が、会計検査院から駄目出しされた。

 会計検査院が2021年11月に公表した検査報告で、設計が不適切と指摘されたのが、栃木県を流れる箒(ほうき)川の護岸工事だ。15年9月の関東・東北豪雨で被災した箒川の護岸を、栃木県が15年度から16年度にかけて復旧。その際に整備した根固めブロックの敷設幅が技術基準を満たさず、護岸の基礎を保護できないと指摘された(写真12)。

写真1■ 2015~16年度に実施した災害復旧工事の完了時に撮影した護岸(写真:栃木県)
写真1■ 2015~16年度に実施した災害復旧工事の完了時に撮影した護岸(写真:栃木県)
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写真2■ 会計検査院による調査の後に撮影した根固めブロック。検査院から敷設幅の不足を指摘された(写真:栃木県)
写真2■ 会計検査院による調査の後に撮影した根固めブロック。検査院から敷設幅の不足を指摘された(写真:栃木県)
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 問題の復旧工事では、幅1.89mの根固めブロックを3つずつ、延長139.2mにわたって敷設した。ブロック同士の隙間が10cmあるので、敷設幅はブロック3つで5.87mとなる。工事費は約7200万円だった。

 復旧工事の設計は、「建設省河川砂防技術基準(案)同解説」(日本河川協会)に基づいて、県が自ら手掛けた。しかし、根固めブロックの敷設幅については技術基準によらず、復旧箇所の上流側に隣接する護岸に敷設されていた根固めブロックの仕様に倣った(図1)。

図1■ 既設ブロックと同様に設計
図1■ 既設ブロックと同様に設計
復旧工事の設計概要。被災を免れた上流側の既設ブロックに倣い、図のような3列の設計とした(資料:会計検査院)
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 その理由として、県は以下の2点を挙げる。

 1つは、上流側では3列ブロックによる敷設幅5.87mの根固めで被災を免れていた点だ。

 もう1つは、被災箇所の一部は敷設幅5.87mで根固めしていたものの、被災原因が根固めブロック前面の洗掘ではなかった点だ。ブロックと護岸との隙間から生じた洗掘や、護岸背面からの土砂吸い出しが、護岸の崩落を引き起こした。

 技術基準では、根固めの設計に当たって、必要な敷設幅を以下のように設定すると規定している。