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技術士第二次試験の筆記試験まで残り1カ月ほど。筆記試験対策では最新施策などのキーワード抽出が大切だと指南してきたが、この段階ではキーワードを使いこなせるようにしておかなければならない。試験当日の対策も含めた直前の対策を伝える。(日経コンストラクション)

 総合技術監理部門を除く第二次試験の記述式論文の書き方について、前回までに詳しく紹介した。ここでは、直前の学習ポイントなどを説く。

1.学習のポイント

 問題を読んですぐに論文を作成できる受験者は少ない。多くの受験者は設問の要旨となるキーワードを抽出して論文の構成を考え、その構成に基づいて論文を仕上げる。

 基本となるキーワードは、試験の1カ月前の時点でほぼ整理を終えていなければならない。まだ終わっていない受験者は、的を絞り込んで早急にキーワードを整理しよう。

 この期に及んで想定問題のテーマを増やし、キーワードの収集・整理を続けるという勉強法は効率が悪い。整理し終えたキーワードを基に、論文を作成できるようにする勉強に時間を使いたい。

 論文の作成に取り組んでみると、単にキーワードを覚えているだけではうまく書けないと気づくはずだ。キーワードの内容を説明できるようにしておかなければならない。

2.論文作成のポイント

 文章作成のルールを守れば、基本的に誰でも「読みやすく、分かりやすい文章」は書ける。とはいえ、試験で力を発揮するには、訓練が要る。

 まずは文字を丁寧に書き、誤字・脱字をなくす。字が下手だと認識している受験者は、答案作成時に楷書で丁寧に記述するよう心掛ける。採点者も人間だ。誤字・脱字や雑に書かれた文字の多い論文は、好意的に読み取ってもらえない恐れがある。

 論文作成の練習時には、読みやすい文章に仕上がっているか否かを客観的に判断してもらうことが大切だ。書き上げた論文を第三者に読んでもらえば、自分では気づかない文章の癖などを教えてもらえる場合がある。

 書く訓練では、時間を意識する。必須問題の論文作成には2時間が割り当てられている。出題が見込まれるテーマのキーワードについて整理した事例を資料1に示す。こちらも参考にしながら練習してほしい。

資料1■ 必須問題のキーワードを整理した例
資料1■ 必須問題のキーワードを整理した例
地球温暖化を緩和するための施策についてキーワードをまとめたもの
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 一方、II―1(専門知識)、II―2(応用能力)、III(問題解決能力及び課題遂行能力)の答案用紙、計6枚の解答に使える時間は3時間半だ。解答する問題を選んで論文構成を考える時間も踏まえると、答案用紙1枚に使える時間はせいぜい30分。じっくり考える余裕はない(資料2)。

資料2■ 選択科目の論文作成の時間配分
資料2■ 選択科目の論文作成の時間配分
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 書くスピードの把握は重要だ。試験時間から論文執筆に要る時間を引けば、構成と見直しに使える時間が分かる。これは試験前に把握しておく。試験では、選択科目は答案用紙の枚数が多いIII、II―2、II―1の順に取り組むとよい。選択科目IIIは、答案用紙3枚に記述するので、構成の検討に時間がかかる。先に片付けた方が心に余裕が生まれる。

 論文構成は論文の完成度に大きく影響する。執筆スピードを上げて、できるだけ構成の検討に時間を割けるようにしたい。一方で、構成を組み立てる訓練も忘れず、この部分も素早く進められるよう努める。