工事現場でICT(情報通信技術)をフル活用して、労働力を半減した旭建設(宮崎県日向市)。どの現場でも当たり前のようにICTを駆使するようになった。約10年前の「残業禁止令」をきっかけに、生産性を向上させる土壌ができた。
現場でできる限りのICTを活用すると、従来と比べて人工(人日)をどの程度改善できるか──。従業員数70人弱の旭建設は2020年に宮崎10号乙房地区外改良工事で、この課題に挑んだ(図1)。同現場を「ICTフル活用モデル工事」と名付け、あらゆるICTを駆使。従来の半分の人工で作業を終えた(図2)。
バックホーのマシンガイダンス(MG)やブルドーザーのマシンコントロール(MC)によるICT施工をはじめ、ドローンを使った測量やペイロードを装備したバックホーでの積載土砂の重量管理などを実施。新型コロナウイルス感染症がまん延していた時期だったため、安全大会や施工会議などで、オンライン化も取り入れた。
ドローンによる測量や遠隔会議などは、今では他現場でも標準仕様となっている。
「ICTを活用する前と比べて、人工は25%程度向上できているのではないか」。同社工事統括部門の河野義博土木部長はこう話す。
旭建設がICTの活用に力を入れ始めたのは、7年ほど前に遡る。最初に注力したのはドローンを使った撮影や測量だ。
15年5月には、社内にドローン空撮事業部を発足。国土交通省が「空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)」やそれに対応した監督・検査要領を示した16年3月よりも前だ。当時はまだインターネットで十分な情報が出回っていなかった。