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地方の建設会社の中でもICT(情報通信技術)にいち早く取り組んだ砂子組(北海道奈井江町)。生産性向上策を考える人が育ち、2015年と比べて現在の生産性は1.5倍に向上した。現場を支援する部署を立ち上げるなど、内製化を図る手腕に迫った。

 「新卒採用で学生の履歴書の志望動機を見ると、必ずといっていいほど、うちのICTの取り組みを書いている」。こう話すのは砂子組の砂子邦弘社長だ。

 18年2月にi-Construction大賞の国土交通大臣賞、20年1月に同大賞コンソーシアム部門の優秀賞をそれぞれ受賞。地方の建設会社の中でも生産性向上につながるICTの取り組みで先行している。

 同社は生産性向上の鍵が「人」にあるとみる。ICT導入の立役者の1人である熊谷一男専務は、「ICTはあくまでも道具、手段であり、人が育たなければ効果は半減する」と言う。長い年月をかけてICTに関するノウハウを身につけるなどして、人材育成に力を入れてきた。

 「昔から新しいことへの挑戦を認めてくれる社風があった」と砂子組の近藤里史専務は振り返る。現場でのICT化を始めたのは、13年も前になる(図1)。まだ情報化施工と呼ばれていた時代だ。

図1■ 10年以上前からICT施工に取り組む
図1■ 10年以上前からICT施工に取り組む
砂子組への取材を基に日経コンストラクションが作成
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 取り組み始めた当時から、情報化施工の仕事を内製化できていたわけではない。同社にも点群データの作製を専門会社に外注した経験がある。通常ならば成果物を受け取って終わりだが、砂子組がひと味違うのは、再度外注しなくてもいいように成果物を徹底的に検証する点だ。

 社員の探究心も強い。あるICT機器を購入したときだ。とにかく使い倒して、メーカーが思いも寄らない新たな使い方を見つけ、製品の改良を求めた。

 「メーカーが想定しないような操作まで試す。超の付くヘビーユーザーだと言われた。ただ使い倒した分、年間の修理費は尋常ではなかった」と近藤専務は笑う。