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ICT(情報通信技術)施工の導入で作業効率を高めても、会社の利益や社員の賃金を底上げできなければ不十分だ。外注費や機械経費などコストの上昇を賄う策が必須となる。付加価値生産性を高める取り組みは3つに分けられる。自社に不足している取り組みの把握から始めよう。

 国土交通省が現場の生産性向上を目指して、2016年に取り組み始めた「i-Construction」。慢性的な人手不足と歯止めの利かない高齢化の問題解決に向け、ICTの活用や施工時期の平準化などを進めてきた。

 数々の生産性向上策に労務単価の引き上げも相まって、19年時点で建設業全体における労働生産性はi-Constructionを始める前と比べて約7%上昇した。それでも全産業の平均の6割に満たない。国が関与しづらい民間の建築工事の生産性を含むとはいえ、製造業の半分以下にとどまっている(図1)。

図1■ 建設業の付加価値生産性は他産業に比べて低い
図1■ 建設業の付加価値生産性は他産業に比べて低い
2019年時点の産業別の付加価値生産性。国土交通省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 国が25年までに建設業における生産性を20%向上させる目標を立てているのは周知の事実だ。日経コンストラクションの調べによると、20年の労働生産性は前年よりも急増し、15年比で約14%向上した。達成まであと一歩に迫るなかで立ちはだかるのが、建設業界の9割を占める中小企業だ。

 16年度から20年度の国の一般土木工事を見ると、AやBのランクの会社はほとんどがICT施工を経験済み。一方、Cランクの会社は経験した割合が5割程度で、Dランクは同1割に満たない(図2)。

図2■ 中小の建設会社ほどICT施工の実施割合が低い
図2■ 中小の建設会社ほどICT施工の実施割合が低い
一般土木工事の等級別に見たICT施工経験の割合。単体企業での元請け受注工事のみを集計した。北海道開発局と沖縄総合事務局は除く。対象期間は2016年度から20年度まで。等級の下に記したカッコ内は16年度以降の直轄工事を受注した企業数。国土交通省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 国の等級でさえもこの結果なので、自治体の等級では未経験の数がさらに増えるだろう。中小企業の対策は待ったなしだ。