社員数が約20人の須田建設(埼玉県小鹿野町)はスマートフォンを使って、スピーディーな出来形管理測量と新入社員教育を両立する。国土交通省が2022年3月中にまとめる小規模現場向けのICT(情報通信技術)活用の施工要領が追い風となり、スマホやタブレットを利用する中小の建設会社が増えそうだ。
地面に手のひらサイズのGNSS(衛星測位システムの総称)レシーバーを置き、スマホを構えてカメラのレンズに収める(図1)。その後、スマホを動かすと、画面に映る地面が青く塗りつぶされていく──。
まるでゲームを操作するかのようにスマホを動かしている。実はこれ、自治体が発注した河道掘削工事におけるれっきとした出来形管理の一幕だ。画面上で青色に変わった範囲は、3次元データを取得できたことを表している。GNSSレシーバーを介して位置情報を取り込み、起工測量によって取得した3次元の点群データとひも付ける。
「一筆書きのようにスマホで地面をなぞるだけで、きれいにデータを取れる」。工事を受注した須田建設の強矢瑠介氏は、こう説明する。21年に入社したばかりの新人だ。「スマホ測量」をすっかり習熟していた。幅4m、奥行き20mの範囲約80m2の3次元測量を数分で完了した。
強矢氏が使うのは、LiDAR(ライダー)センサーを搭載したスマホにダウンロードしたアプリ「OPTiM Geo Scan(オプティムジオスキャン)」だ。ITサービスを手掛けるオプティムと松尾建設(佐賀市)が共同で開発した。
掘削の出来形を確認する場合は、スマホで取得したデータと起工測量で取得したデータとを重ね合わせるだけでよい。