宮崎市に本社を置く岡﨑組は、現場のICT(情報通信技術)化よりも先に経理や財務などの効率を改善し、生産性の2割向上を達成した。サービスをやみくもに採用するのではなく、労働時間の削減効果を付加価値額に換算して導入の可否を判断した。
2013年の小口現金精算の電子化を皮切りに、総務や経理、財務などバックオフィスの業務改善を進めてきたのが、社員約70人の岡﨑組だ。現場の生産性向上に乗り出す前に、大幅な労働時間の削減に成功した。
「現場でICT化を進めろと言いながら、事務作業が従来通りでは説得力がない」。岡﨑組の岡﨑勝信社長はこう話す(写真1)。
14年に導入した勤怠管理システム「勤之助」や給与明細システム「与之助」、15年に導入した請求書クラウドシステム「BtoBプラットフォーム請求書」など、サービス自体は決して珍しいものではない(図1)。
一方で際立つのが、サービスなどを導入する判断基準に付加価値生産性(人時生産性)を採用している点だ。売上高から外部購入価値を引いた付加価値額を、企業が投入した労働量(労働時間)で除した値で、社員1人が1時間当たりに稼げる金額を指す。
同社は13年に、社員へ一定水準の賃金を払いつつ十分な利益を生み出せる会社に生まれ変わるため、人時生産性を4000円に設定。建設業界の平均値である3000円程度と比べて、高い目標値を掲げた。