建設会社大手4社が打ち出した新型コロナウイルス対策を時系列で並べると、4社の新型コロナに対するスタンスの違いが浮かび上がってきた。1つの対策で終わらせず、制度の新設や改定などで柔軟に対応する点が目立つ。
「既存の制度で新型コロナに対応できるのか」。国内感染が広がる2020年初頭、清水建設社内ではこんな議論が巻き起こっていた。
同社が運用していた在宅勤務制度は、勤続年数が3年以上でないと利用が認められていなかった。「これでは感染拡大に対応できない」と判断。急きょ、2月に全社員が在宅できるように制度を緩和した。在宅勤務には事前申請が必要だったが、申請手続きも不要にした。
時差勤務制度も20年2月に要件を緩和し、事前の申請手続きが不要になった。20年4月には、スライドできる時間帯を拡大した。
「この2年間は、刻々と状況が変化する新型コロナに対応するため、どんな対策を打ち出すにもスピードが求められた」。人事部企画グループの佐藤嘉郎氏はこう振り返る。