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作業所を変える100のレシピ

 コロナ禍での現場対策は作業所にも及んでいる。際立つ取り組みが、大成建設の「ウエルネス作業所」だ。

 作業所は工事が終われば撤去する仮設物なので、コストを重視して機能性は最低限に抑えるのが常識だ。

 ただし、数年間続く現場もある。作業所の環境が生産性に与える影響は小さくない。

 そこで大成建設は作業所を「仮設型のワークプレイス(職場)」と捉え直し、社員同士のコミュニケーションの促進や心身の健康増進を目指した空間づくりに取り組んだ。22年3月までに、ウエルネス作業所を首都圏3カ所で先行導入している。

 ウエルネス作業所の特徴は、職場環境を向上するために同社設計本部が作成した約100種類の「ウエルネスレシピ」にある。

 コの字形の中庭や触って香る木の天板、全員で使えるブラックボード、分棟型のカフェ──。レシピには、コミュニケーションの活性化を促す空間や緑化、家具など多彩な選択肢がまとめられている。全ての項目を取り入れる必要はなく、各所長は、その現場の特性を踏まえた最適な項目でカスタマイズする。

 ウエルネス作業所が20年2月に完成した下高井戸調節池工事の工期は、17年12月15日~23年12月28日。22年2月時点で約50人のスタッフが働いており、最盛期で80人に上るという。

 この現場では、約100項目のレシピから10項目ほどを導入(写真1)。個人作業の効率化を促す「集中作業スペース」やオープン型の給湯室を備える「オープンキッチンカウンター」などを取り入れた。

写真1■ 大成建設は、東京都杉並区で進む「下高井戸調節池工事」の現場で、「ウエルネス作業所」を2020年2月に建てた。作業所内部に観葉植物を置いたり木目調のデスクを導入したりして、健康で快適に働ける職場環境を整備した(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 大成建設は、東京都杉並区で進む「下高井戸調節池工事」の現場で、「ウエルネス作業所」を2020年2月に建てた。作業所内部に観葉植物を置いたり木目調のデスクを導入したりして、健康で快適に働ける職場環境を整備した(写真:日経コンストラクション)
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(写真:日経コンストラクション)
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 大成建設下高井戸調節池工事作業所の大塚剛作業所長は「給湯室は部屋の隅に置かれがち。その代わりにオープンキッチンカウンターを執務室の中央に配し、社員間のコミュニケーションの促進を図った」と説明する。

 他にも、作業所内が柔らかい雰囲気になるように木目調の床を敷いたり観葉植物を置いたりするといったレシピを取り入れた。「同規模の従来の作業所と比べて建設コストは大きいものの、まずは社員や作業員が快適に働ける環境整備が大切だ」と大塚作業所長は意義を語る。