
ファーストニュース
目次
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中日本高速案件で「期限破り」急増
中日本高速道路会社が発注した工事や業務で、期限までに完了できない契約違反が頻発している。履行の遅れを理由に「資格登録停止」を実施した件数が、2021年度の1件から22年度は15件に急増。同社は「事業進捗を遅らせるリスクとなり得る」として、対策に頭を悩ませている。
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乱立する総合評価の加点を再編
国土交通省が直轄工事の入札で、複雑になった総合評価落札方式の見直しに着手した。各地方整備局が試行結果を分析してPDCAサイクルを回し、有用なものは全国展開する。脱炭素や働き方改革への加点など、新たな評価方法の検証が進みそうだ。
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1.5兆円の高速道路更新の陰に新技術
総額約1兆5000億円に上る高速道路会社の「第2期」更新計画が出そろった。充填材不足に伴うPC鋼材の破断など、新技術で新たに判明した重大損傷に対処する。追加事業費を賄うため、国は料金徴収期限を2115年に延期する。
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新幹線の高架橋に新たな地震リスク
2022年3月の福島県沖地震で発生した新幹線のラーメン橋台のせん断破壊を巡り、新たな損傷リスクが判明した。これまで同様の橋台の6割以上が耐震補強の優先度を低く判定され、現行の補強計画に入っていなかった。国土交通省はJR各社に対し、同様の橋台を25年度までに前倒しで補強するよう要請した。
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増え続ける盛り土の危険性見抜けず
2022年9月に発生した浜松市天竜区緑恵台の土砂崩れは、違法な盛り土が原因とされる。この盛り土は、全国の総点検や静岡県で強化した規制の対象に含まれていなかった。現場には過去に何度も盛り土が無断搬入されていたものの、危険性に気付けなかった。
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公共事業費は10年連続で6兆円維持
2023年度予算案の公共事業関係費は10年連続で約6兆円と高い水準を維持した。そのうち国土強靱化関連は2%増の約4兆円で、引き続き防災・減災に力を注ぐ。深刻化する赤字ローカル線問題に関しては、再編に向けた交付金事業を新設する。
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復旧後の再崩落は想定外の水位上昇
災害復旧工事を終えた直後に再び崩落した岐阜県高山市の山岳道路「乗鞍スカイライン」。県の調査で、この2年間に地山の細粒分が減少し、地下水位が2mほど上昇していたことが判明した。復旧工事の設計時に想定していなかった地中の変化が、円弧滑りを引き起こした。
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進まぬ残業時間削減、大手ほど深刻
建設業への罰則付き残業規制の適用まで1年半を切る中、労働時間の削減が進んでいない。日経コンストラクションの調査で、2021年度の残業時間が前年度比で増えた建設会社は3割を占めた。他業界との間で労働時間の格差が広がっている。
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難航する水道管の更新事業
全国各地で進む水道管の老朽化。更新事業の効率化は待ったなしだ。大阪市は民間事業者との協力、奈良県は県内の水道一本化で解決を図るが、いずれも難航。事業費増大のリスク分担や水道料金の地域格差など、多くの問題が事業化を阻む。
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談合で消えた指名入札“本格復活”へ
2000年代半ばの入札改革で一度は廃止した指名競争入札を、復活させる動きが活発になってきた。福島県では、地元企業の育成を目指して試行した指名競争で効果が見られたとして、本格導入に移行しそうだ。国土交通省でも、工事発注の迅速化などを目的とした指名競争がここ数年で急増している。
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パシコン社長辞任させたプロポの闇
パシフィックコンサルタンツ社長の引責辞任に発展した富山市の橋梁設計などを巡る官製談合事件。受注者側と結託した市職員が、プロポーザルの参加要件を恣意的に緩和させたり、競合他社を蹴落としたりしていた。このような“えげつない”不正を許した背景には、市のプロポーザル方式の抱える不透明性がある。
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水害訴訟で国に異例の賠償命令
7年前に関東・東北豪雨で起こった鬼怒川の氾濫を巡り、国の管理責任を認める異例の判決が出た。被災した住民側は、越水箇所の「自然堤防」が民間事業者によって削られていたことを問題視。自然堤防の機能を守るために河川区域に指定することを怠ったとして、国が一部敗訴した。
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曲線美が災いして橋の支承砕ける
完成から24年でローラー支承が破損した熊本県天草市の牛深ハイヤ大橋。事故後の調査で、牛深港の海上に優美な曲線を描く独特な形状が災いしたことが分かった。ローラーが動かない橋軸直角方向に無理な力が働き、疲労破壊につながったとみられる。
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止水矢板のない左岸端部が弱点に
愛知県豊田市の取水施設「明治用水頭首工」で2022年5月に発生した大規模な漏水事故。ボーリング調査などの結果、堰体やエプロンの下に高さ最大3m程度の空洞を広範囲で確認した。止水矢板のない左岸端部が弱点となり、パイピング現象が起こっていた。
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震度5強なのに宅地被害が多発
2022年3月の福島県沖地震で、仙台市において多数の宅地被害が明らかになった。業界で注目を集めているのは、震度5強だったにもかかわらず被害が拡大した点だ。東日本大震災で崩れなかった箇所や抑止杭の対策箇所での被災も散見されている。
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東洋建設が「物言う株主」排除に失敗
東洋建設が定時株主総会の前日に、「買収防衛策」の議案を取り下げた。同社の買収をもくろむ任天堂創業家の資産運用会社の要求に応じた形だ。建設会社に「物言う株主」が介入するケースが増えている。
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資材高騰で注目集まるスライド条項
収束の気配が見えない原油や資材の高騰で、価格転嫁が喫緊の課題になっている。建設会社が資材価格の上昇分を請負代金に反映できなければ、収益悪化は止まらない。国土交通省は「スライド条項」の適切な運用などを求める通知を出した。
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らせん状に裂けた水中の鋼管杭
宮城県気仙沼市の気仙沼漁港で、防波堤が前触れもなく一夜で消失した「事件」から半年がたつ。日経クロステックが独自に入手した資料などで、海中の状況が明らかになった。鋼管杭の溶接部で「選択腐食」が進行し、らせん状に裂ける奇妙な現象が起こっていた。
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トンネル閉じ込め事故の意外な原因
直径1.1mの狭いシールドトンネル内に土砂が流入し、作業員が2日間閉じ込められた大阪での事故。その原因は、シールド機の異常でもセグメントの破損でもなかった。事故後の現場を確認すると、土砂を密閉するはずの容器の蓋が開いていた。
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盛り土規制の「パンドラの箱」開く
盛り土の安全性に関する技術基準が大きく変わるかもしれない。斉藤鉄夫国土交通相が、従来の安定計算の考え方を転換し、液状化を前提にした基準を作ると表明したのだ。自治体が実施してきた安定性評価のやり直しを迫られる可能性がある。