総額約1兆5000億円に上る高速道路会社の「第2期」更新計画が出そろった。充填材不足に伴うPC鋼材の破断など、新技術で新たに判明した重大損傷に対処する。追加事業費を賄うため、国は料金徴収期限を2115年に延期する。
2022年12月21日の首都高速道路会社を皮切りに、東日本、中日本、西日本の高速道路3社(NEXCO3社)や阪神高速道路会社が相次いで新たな更新計画を発表した。14年度から進めている総額約5兆4000億円の従来の更新事業に続く「第2期」の位置付けだ。(資料1)。従来の事業が終わる前から新計画に着手し、同時並行で進める予定だ。
新計画では、従来の事業の対象区間以外で見つかった重大な損傷に対処する。例えばNEXCO3社は、これまでほぼ未着手だった舗装を新たな更新事業に加えた(資料2)。劣化要因に関する新たな知見が集まってきたからだ。一方、トンネルは新たな重大損傷が見つからなかったので今回の対象に入っていない。
14年度の定期点検義務化や近年の調査技術の発達によって、重大な損傷が新たに見つかるようになった。特に、電磁波レーダー探査といった非破壊調査技術や、内視鏡カメラなどで構造物内部を確認する微破壊調査技術が発達した点が大きい(資料3)。
「これまで目に見えなかったコンクリート内部の損傷が分かるようになってきた」と、NEXCO3社の技術検討委員会の委員長を務める城西大学の藤野陽三学長は指摘する。従来の更新事業の対象は、主に近接目視点検の結果を基に選んでいた。