鋼材や生コンクリートの価格高騰が止まらない。資材ごとの供給網を探ると、ロシアによるウクライナ侵攻で原燃料の値上げ圧力がさらに高まるリスクも浮かぶ。建設コスト上昇の出口が見通せない。
鋼材価格が高騰している。建設物価調査会によると、東京のH形鋼価格(SS400、200×100mm)は2020年下期の1トン当たり7万4000円から、21年に入ってほぼ毎月上昇。22年3月に11万円と49%高くなった。異形棒鋼(SD295、D16)も20年8月から22年3月にかけて59%値上がりした(資料1)。
注文から納品までの期間は以前より長くなっている。大手鋼材商社の担当者は「値上げが続いていることから、建設会社や鋼材加工会社が安値で仕入れようと注文を前倒ししている」と打ち明ける。
同担当者によると、H形鋼の納品は20年10月には長くても2カ月だったが、21年10月には最大で3カ月半に延びた。鋼板から作る角形鋼管に至っては、21年10月に最大で5カ月と、1年前の2倍になった。
生コンクリート価格も上昇傾向にある。この1年半で、段階的に値上がりした。建設物価調査会によると、東京17区の大口取引による現場持ち込み価格は、1m3当たり1万4800円。1年半で約6%上昇した。
生コンの価格上昇はさらに続きそうだ。東京では22年1月、東京都心部に生コンを供給するメーカーで構成する東京地区生コンクリート協同組合が販売価格を約2割値上げすると発表した。新たな価格の適用は22年6月1日契約分からで、値上げ幅は1m3当たり3000円で過去最大となる。
東京生コン協組の値上げは5月以前に契約する生コンの価格には反映されない。都市部では工期が長い大型工事で契約済みの生コンも多いことから、ある生コンメーカーの関係者は、「新しい価格が定着するのには少なくとも2~3年かかるのではないか」とみる。