直径1.1mの狭いシールドトンネル内に土砂が流入し、作業員が2日間閉じ込められた大阪での事故。その原因は、シールド機の異常でもセグメントの破損でもなかった。事故後の現場を確認すると、土砂を密閉するはずの容器の蓋が開いていた。
大阪府守口市で2021年12月、工事中のシールドトンネル内に作業員が2日間閉じ込められた事故は、掘削した土砂を収める容器の蓋が外れて土砂があふれ出たことが原因だったと関係者への取材で分かった(資料1)。土砂が坑内に堆積し、作業員の退路を塞いだ。シールド機やセグメントに異常はなかった。
事故が起こったのは、守口市内にある大庭浄水場と庭窪浄水場を結ぶ水道管を通すトンネルの掘削現場だ(資料2)。トンネルの延長は974mで、内径は1.1m。大勝建設(大阪市)・中林建設(同)JVが、泥土圧式シールド工法の一種である「DXRシールド」で掘削していた。1次下請けには、同工法をクボタと共同開発したクボタ建設が入っている。
DXRシールドは、トンネル内周に鋼製セグメントを組み立てて「さや管」とする工法だ。さや管の構築が終わったら、その中に口径700mmのダクタイル鋳鉄管を敷設する。
シールド機で掘削した土砂はチャンバーからホースで搬出し、密閉型の「土砂スキップ」と呼ぶ容器に収容する(資料3)。このトンネルでは土砂スキップを2台つなぎ、その後方(坑口側)にバッテリー駆動の機関車を連結していた。
チャンバーからホースを経て土砂スキップに入るまでは全て密閉されている。トンネルの外に土砂スキップを搬送してから、側面の蓋を開けて土砂を排出する(資料4、5)。