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東洋建設が定時株主総会の前日に、「買収防衛策」の議案を取り下げた。同社の買収をもくろむ任天堂創業家の資産運用会社の要求に応じた形だ。建設会社に「物言う株主」が介入するケースが増えている。

 東洋建設は2022年6月23日、翌日の定時株主総会に諮る予定だった議案の取り下げを発表した。断念したのは、同社株の大規模な買い付けに関するルールへの承認を求める第5号議案だ。新ルールでは、議決権ベースで20%以上となる株式の買い付け行為に対して、意向表明書の提出や目的などの情報提供、東洋建設の取締役会における評価期間の設定を求めていた。守られない場合は新株予約権の無償割り当てを実施して、20%以上の買い付けを阻止するというものだ(資料1)。

資料1■ 株主総会の前日に大規模買い付けルールを取り下げ
資料1■ 株主総会の前日に大規模買い付けルールを取り下げ
(資料:東洋建設)
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 東洋建設は、買い付け者と対等な協議を続けるための施策であると主張してきた。しかし、中身は一般的に「買収防衛策」と呼ばれるもの。その証拠に、東洋建設は議案名称で買収防衛を想定する相手を名指ししていた。任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス」(YFO)だ。

 YFOはインフロニア・ホールディングス(HD)が22年3月22日に東洋建設の完全子会社化へ向けたTOB(株式公開買い付け)を表明した直後に同社株の買い集めを開始。併せて、1株1000円でのTOBを実施するとの対抗提案を出していた。

 4月中旬時点でYFOは東洋建設株の2割超を保有。インフロニアHDによるTOBが失敗に終わる前から、東洋建設は危機感をあらわにしていた。

 大規模買い付けルールは22年5月24日の東洋建設取締役会で実施を決議していたが、先述したように議案の取り下げにより、総会の終了と同時に廃止となった(資料2)。

資料2■ 東洋建設は2022年6月24日に定時株主総会を開き、終了時に大規模買い付けルールを廃止した(写真:日経コンストラクション)
資料2■ 東洋建設は2022年6月24日に定時株主総会を開き、終了時に大規模買い付けルールを廃止した(写真:日経コンストラクション)
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