全1968文字

建設業への罰則付き残業規制の適用まで1年半を切る中、労働時間の削減が進んでいない。日経コンストラクションの調査で、2021年度の残業時間が前年度比で増えた建設会社は3割を占めた。他業界との間で労働時間の格差が広がっている。

 全国の主要な建設会社を対象とした日経コンストラクションの調査で従業員の1カ月当たりの平均残業時間を答えてもらったところ、21年度は31%の企業が前年度比で増えていた(資料1)。減少した企業は60%に上るものの、回答企業全体の平均は1.1時間しか減っていない。

資料1■ 3割の企業で残業時間が増加した
資料1■ 3割の企業で残業時間が増加した
日経コンストラクションが2022年6~7月に実施した建設会社の決算調査の結果。従業員の1カ月当たりの平均残業時間を答えてもらった。グラフは20年度と21年度の実績を基に作成。有効回答数は174(出所:日経コンストラクション調査の結果を基に日経クロステックが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 増加した会社からは「民間の大型建築工事など工期に余裕のない案件が立て込んだ」「土木の公共工事で契約後の追加工事が発生した」といった声が挙がった。

 建設会社には24年4月から、法定労働時間を超える時間外労働に対して災害の復旧・復興に関する事業でない限り、罰則付きの上限が課される。「工期に余裕がなかった」などという言い訳は通用しなくなる。