型枠を使わずに構造物を造形でき、生産性を上げる技術として注目を浴びる建設3Dプリンター。プリンターでつくった下水升が初めて国の工事で設置された他、擁壁や縁石の設置計画が進行している。2022年は建設3Dプリンターの実用化元年となりそうだ。

建設3Dプリンター元年
目次
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建設3Dプリンター製の土木構造物 公共工事のあちこちで実現へ
国土交通省土佐国道事務所の道路改良工事で初めて、建設3Dプリンター製の集水升が設置された。これを皮切りに、2022年はあちこちの公共工事で印刷造形する計画が動き始めている。スタートアップ企業のPolyuse(ポリウス、東京都港区)によると、20~30件で実装される。
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今さら聞けない 建設3Dプリンターのイロハ
大手だけでなく中小の建設会社も関わり始めた建設3Dプリンター。しかしいまだにどのようなメカニズムでプリントし、どのような特徴があるのか、説明できない人は多い。ここでは、今さら聞けない建設3Dプリンターの基本事項についておさらいする。
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工事での埋設型枠採用が進む 清水建設は6割の工期短縮に
土木構造物への建設3Dプリンターの適用は、大手ゼネコンでも実例が登場している。清水建設は鉄道工事において、歩道橋の柱脚基礎の埋設型枠を印刷造形して設置した。脱型が不要になり養生期間を待たなくて済むため6割の工期短縮につながった。
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海外の建設3Dプリンター業界地図 スタートアップが群雄割拠
建設3Dプリンターの開発動向は日本と海外で異なる。国内では大手建設会社が個別に開発を進めてきたのに対して、世界では設立から間もないスタートアップ企業が主役となって急速に事業化を進めている。各国で台頭する建設3Dプリンターの新興勢力を追った。
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JR東日本が本腰、夜間工事の制約を解消する3Dプリンティング
夜間に割増し賃金を払って、短時間で工事せざるを得ない鉄道。騒音にも気を配る必要がある。そんな制約を一挙に解決する方法としてJR東日本が目を付けたのが、建設3Dプリンターだ。2022年は駅舎に置くベンチを3Dプリンターで造形するプロジェクトを東京大学と連携して実施する。
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補修・補強で活躍する3Dプリンター 地方企業の使いやすさが普及の鍵
岐阜大学などはICT建機と吹き付けタイプのプリントを組み合わせた補修・補強技術の展開を目指す。地方の建設会社が使い慣れた重機に搭載することで、3Dプリンティング採用へのハードルを下げる。地方のコンクリート製品メーカーなどが自由に使えるように、共有の3Dプリンターを構築する方針だ。
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3Dプリンターで住宅が建つ時代 土木でも生産性向上の起爆剤に
2022年は土木だけでなく建築でも建設3Dプリンターを使った計画が進行している。倉庫や住宅など規模の大きな構造物を造形する「初事例」が国内で出ている。土木での爆発的な普及には、3Dプリンターによる生産性向上効果の実証が欠かせない。