激甚化する自然災害を前に、最新テクノロジーを駆使した防災テックが盛り上がりを見せている。情報の早期収集をはじめ、分析、予測、共有などで防災テックを生かした新事業が目に付く。注目の防災テックを保有する企業の快進撃を追った。

防災テックの快進撃
目次
-
伸び続ける防災市場 防災テックを使った新事業に期待
国土強靱化をはじめとするハード整備やソフト施策など従来型の公共事業だけでは、激甚化する自然災害から身を守る対応が難しくなってきた。そこで注目を集めているのが、AI(人工知能)やドローン、IoTセンサーなど最新テクノロジーを防災に適用する防災テックだ
-
緊急時に巨大ドローンが情報収集 災害の予測で市民の早期避難へ
コンクリートメーカーの會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市)が、大型ドローンや衛星からの画像、気象情報など、さまざまなデータから洪水や津波による水害の発生を予測し、地域住民の早期避難を支援する防災テックに乗り出した。飛行ルートをデジタルツイン上で設定して、ドローンの完全自動化を目指す。
-
無線LANで位置把握とチャット 飛島建設がトンネル技術を応用
飛島建設などは電波の届かないトンネル掘削現場で実績のある通信技術を応用し、地下の大規模な陽子加速器施設に防災システムを導入した。作業員を最適な避難経路へとリモートで誘導するとともに、平時は現場支援を後押しする。建設現場で培った防災システムが活躍の場を広げている。
-
宇宙からの目で「変化」を見極め 地滑りや地盤変化の予兆つかむ
昼夜、天候を問わず広範囲で地表の変化を把握できる合成開口レーダー(SAR)。SARを搭載した人工衛星で、従来なかったサービスを提供し、防災市場を拡大する動きが盛んだ。土砂災害の予兆を把握して、事前の対策を講じるケースも出てきた。
-
避難所の空きが分かる新サービス 「避難所難民」の回避に一役
新型コロナウイルスの感染症対策「3密回避」で、災害時の避難所の定員が減り、避難所難民が多発。問題になっている。その回避策として導入され始めているのが、飲食店などの混雑状況を端末で把握するサービスだ。避難所向けに転用した新サービスを使う自治体は214に上る。
-
自宅でできる新しい防災訓練 スマホを使いゲーム感覚で防災力向上
コロナ禍での「3密回避」などで、防災訓練を実施しにくい環境になった。若年層の参加率が芳しくない現実もある。こうした状況を解消しようと、岐阜県大垣市が始めたのがデジタルトランスフォーメーション(DX)を絡めた防災施策だ。どこに居ても端末から参加できる新しい防災訓練システムに期待を寄せる。