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コンクリートメーカーの會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市)が、大型ドローンや衛星からの画像、気象情報など、さまざまなデータから洪水や津波による水害の発生を予測し、地域住民の早期避難を支援する防災テックに乗り出した。飛行ルートをデジタルツイン上で設定して、ドローンの完全自動化を目指す。

 2022年3月1日、福島県浪江町庁舎の前で巨大なドローンが披露された(資料1)。移動式格納庫の上に載るドローンの寸法は約1m×約2.7m×約2.7m。500ccエンジン搭載で、降雨や強風にも負けずに飛行して情報を収集する防災用ドローンだ。會澤高圧コンクリートと同町が連携して開発を進める豪雨・津波防災支援システム「ザ・ガーディアン」の中核を担う。

資料1■ 2022年3月1日、福島県浪江町の庁舎で初披露した「豪雨・津波防災支援システム」のエンジンドローン。大地震発生時や豪雨の際にこのドローンが自動で飛び立って上空から海岸や河川を観測。津波や河川の氾濫を早期に予測し、スマホなどを介して周辺の住民に通知する(写真:會澤高圧コンクリート)
資料1■ 2022年3月1日、福島県浪江町の庁舎で初披露した「豪雨・津波防災支援システム」のエンジンドローン。大地震発生時や豪雨の際にこのドローンが自動で飛び立って上空から海岸や河川を観測。津波や河川の氾濫を早期に予測し、スマホなどを介して周辺の住民に通知する(写真:會澤高圧コンクリート)
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 ザ・ガーディアンは、観測衛星やドローンによる撮像データなどから、豪雨による河川の氾濫、大地震に伴う津波といった水害の発生を早期に予測。住民の持つスマートフォンなどに警戒情報を発信し、早期避難を支援する。

 システム開発で協定を締結したのは21年4月。同社は23年4月に町内の工業団地に次世代の研究開発型生産施設を新設する計画があり、それを機に声をかけた。

 「ドローンを飛ばして水害の兆候や被害状況がリアルタイムに分かる技術を町として求めていた」。同町総務課の横山芳幸防災安全係長はこのように説明する。