コロナ禍の影響で一時足踏みした建設業界の海外展開。ミャンマーの政変やロシアのウクライナ侵攻などが重なり、リスクも浮き彫りになった。しかし、海外展開は縮小する国内市場をカバーするだけでなく、人材の確保や技術力の向上にも結びつく。足元の受注環境が「V字回復」に向かっている今こそ、海外戦略に正面から取り組むチャンスだ。

特集
今こそあえて海外へ
目次
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V字回復の今が海外進出のチャンス
新型コロナウイルス禍で急減した海外土木工事の受注が回復基調にある。政変や戦争の影響などで安定した売り上げが見込みづらいとはいえ、将来の国内需要減への備えや労働力の確保に向けて、それでも海外へ挑む。
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ハイブリッド人材でどこでも活躍
一口に海外といっても、市場開拓だけではない。そこでしか得られない技術や人材も重要な視点だ。日本工営はコロナ禍でも海外部門の社員を国内で活躍させ、全体の業績を伸ばした。長期的な競争力向上を目指す大手コンサル・建設会社の海外戦略を追う。
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コロナ禍で頓挫も諦めぬ海外展開
人材育成事業でベトナムへ進出したアース建設コンサルタントは本業での展開も狙う。苦労の末、ようやくJICAの基礎調査に採択されたが、コロナ禍で業務を進められず契約を解消。それでも海外での本業を諦めない同社は、日常を取り戻しつつあるベトナムで事業再開を目指す。
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国内外で人材流動化が進む建設業界
建設業界において、国内外の人材流動化や中小企業の海外進出は従前からの課題だ。コロナ禍以前から表彰制度の充実を図るなど、国は海外への進出を後押ししている。現地の発注者向けに品質評価や積算の制度整備・運用を支援する取り組みも進む。
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“鋼管”強みに独自の地位
基礎工事や仮設橋梁を手掛ける高知丸高は、独自技術を武器に海外工事で頼られる会社の1つ。新型コロナウイルスの感染拡大が続いて海外案件が減っても、グローバル市場を見据え続ける。外国人向けの技能教習施設を開くなど、人材育成に力を入れて将来の市場拡大に備える。
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国内外の推進工事で若手に学びの場
下水道工事を手掛けるヤスダエンジニアリングは、コロナ禍のロックダウンを乗り越え海外展開を進める。推進工法の国内市場の伸びが見込みづらい中、海外での事業拡大に活路を見いだす。国内外の異なる現場で若手に経験を積ませ、次世代の人材育成を図る。